生活保護基準の違法な引き下げ 「命あるうちに全面解決を」

Date: Category:政治 Views:1572 Comment:0

 「命あるうちに全面解決を」

 「まずは謝罪を!」

 「当事者の声を聴け」

 8月13日17時、東京・霞が関。「いのちのとりで裁判」の原告や弁護団、私を含む各地の支援者は厚生労働省が入る合同庁舎第5号館の前に集まり、プラカードを掲げて厚労省への緊急抗議行動を開始した。マイクを使ってのアピールは、この日、厚労省の会議室で「最高裁判決への対応に関する専門委員会」が強行開催されることに抗議するもので、委員会が始まる18時の直前まで続いた。

 「いのちのとりで裁判」とは、第2次安倍政権下の2013年から15年にかけて実施された過去最大の生活保護基準引き下げについて、全国29の都道府県の生活保護利用者が減額処分の取り消しなどを求めて提訴した行政訴訟の総称だ。一連の訴訟は、6月27日、最高裁判所第3小法廷(宇賀克也裁判長)が基準の引き下げを生活保護法違反と断罪し、減額処分の取り消しを命じる原告勝訴判決を言い渡したことにより、法的には決着がついたはずだった。

 裁判の原告・弁護団は最高裁判決が出た当日の夕方、厚生労働省に対し、生活保護利用者への謝罪と違法状態の早期解消を求める要請書を提出。その後も厚労省との交渉の場で、最高裁が減額処分を取り消した以上、13年改定前の基準との差額保護費が直ちに遡及(そきゅう)支給されるべきだと主張してきた。

 しかし、厚労省は謝罪や補償に関して明確な方針を示すことなく、判決を踏まえた国の対応を検討するために専門家による委員会を設置すると表明。原告側は国の意向に沿う専門家が集められることによって判決の意義が矮小(わいしょう)化されかねず、司法の軽視にもつながるとして、委員会の設置方針を撤回することを要求したが、厚労省は聞く耳を持たず、専門委員会の初会合が8月13日の18時から厚労省の会議室で開催されることになった。

 私たちは厚労省が専門委員会の開催を強行したことに抗議するため、急きょ、厚労省前に集まったのである。

 厚労省は当初、7月中に専門委員会を始める方針だと説明していたが、設置は遅れ、委員の名簿が発表されたのは8月8日だった。公表された委員の名簿を見て、私は「やはり」と思わざるをえなかった。9名の委員の中に…

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