女優の今田美桜がヒロイン柳井のぶを演じるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(総合ほか)第104回が21日に放送される。のぶの夫、嵩(北村匠海)が旧知の作曲家、いせたくや(大森元貴)からテレビドラマの脚本執筆を頼まれる。
第21週「手のひらを太陽に」(第101〜105回)振り返り
昭和39(1964)年、嵩が詞を書き、たくやが曲をつけた「手のひらを太陽に」が大ヒット。また嵩の恩人、八木信之介(妻夫木聡)は雑貨店「九州コットンセンター」を設立し、同社に、のぶの妹、朝田蘭子(河合優実)がフリーライターとして出入りし、商品の宣伝文を考案していた。嵩もまた八木に「逃げずに漫画を描け」と促されるが、筆は一向に進まない。会社を辞め、家にいる時間が増えたのぶは「嵩が好きな漫画を描いてくれることが一番うれしい」と伝えるが、それは今の嵩に最も胸に刺さる言葉だった。
ビーチサンダルの宣伝文で八木からOKをもらった蘭子だったが、文中に「絶対」という言葉を使うことだけは拒否した。彼女は映画雑誌で批評記事も書いていたが、八木は、最近の記事は作品をけなしてばかりだと苦言。称賛しても読者の目を引かないと反論する蘭子に、「注目されればそれでいいのか?」「そんな見方をして、一番不幸になるのは映画を愛しているキミなのに」とぶつけた。蘭子は「八木さんはどうなんですか? いつもニヒルなことを言って、誰にも心を開かない。家族も持たない。そんな人に愛とか言われたくありません」と反発するが、帰宅後、かつて八木にも家族がいたことを知り、「うち、どうしよう…」と困惑した。
蘭子はすぐに八木に謝罪。八木は互いに言いたいことを言い合えるほうが仕事はしやすいと返し、自らの過去を語った。出征前に「絶対に生きて帰る」と妻子と約束したが、復員後、2人は空襲で命を落としていたという。「なんのために戦地で生き延びたのか、わからなかった。だが東京へ来て、アキラのような孤児に出会い、もう一度、生きてみようと思えたんだ」。それを聞いた蘭子は「私にも、『絶対に生きて帰る』と言ってくれた人が…いました。だから私、『絶対』って言葉、使えないんです」と打ち明けた。
のぶは蘭子の様子から、彼女が八木に恋をしているのではと感じていたが、蘭子は「私は一生、恋愛らあはせん」と完全否定。その場に、NHKのディレクター、辛島健太郎(高橋文哉)が現れ、嵩に「よか話、持ってきたばい」と声をかけた。
嵩は健太郎の頼みでテレビ番組「まんが教室」に出演することに。初回の生放送、ガチガチに緊張する嵩をのぶはテレビの前で心配そうに見守った。案の定、嵩は最初の絵描き歌でいきなりミス。そんな嵩にスタジオは大爆笑となった。
それからしばらくして、のぶの母、羽多子(江口のりこ)が高知から上京。羽多子は、のぶと嵩の幼なじみ、今野康太(櫻井健人)を連れてきた。康太は朝田家を借りて食堂を開業させようとしていた。店名は「たまご食堂」。戦地で食べたゆでたまごの味が忘れられないという康太は、戦地での過酷な経験を振り返り、空腹で困っている人には無料で食べさせてやりたいと語った。それが康太なりの恩返し。話を聞いた羽多子は店を手伝うことを決めた。
その晩、蘭子・メイコ(原菜乃華)姉妹、そしてメイコの娘2人が柳井家に遊びに来た。のぶは、父の結太郎(加瀬亮)が亡くなった後も自分たちを育て上げ、今では町中から慕われている母を「頼もしい」と尊敬。そしてライターとして生きる蘭子、しっかりした母になったメイコを「ほんまにえらい。みんなお父ちゃんに言われた通り、自分の夢を追いかけて、ちゃんとつかんだ…」とほめ、「うちは何しよがったやろう」とつぶやいた。蘭子もメイコも、のぶはしっかり嵩を支えているとフォローしたが、のぶはさみしそうに押し黙った。
「あんぱん」第104回あらすじ
嵩はたくやからテレビドラマの脚本を依頼される。漫画を描くうえでも役に立つはずだと言うたくやに、嵩は漫画を描いていないことを話し、仕事を引き受ける。のぶは、嵩がこのまま漫画を辞めてしまうのではと心配する。
そんなある日、カフェで打ち合わせ中の嵩を待っていたのぶは、女性たちに取り囲まれる嵩の姿にあ然とする。その夜、最近の嵩はおかしいと言うのぶに、嵩が思わず声を荒らげる。
「あんぱん」とは?
人気アニメ「アンパンマン」の原作者として知られるやなせたかしさんと小松暢さんの夫婦をモデルにした朝ドラ。生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかったヒロインとその夫の人生を描く。脚本は中園ミホさん。主題歌「賜物」をRADWIMPSが歌い、「語り」を同局の林田理沙アナウンサーが務める。
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