日本政府が主導し、約50カ国のアフリカの首脳らが参加する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が20日、横浜市のパシフィコ横浜を主会場に開幕した。人口増加が著しく、銅などの資源が豊富で「最後のフロンティア」とも呼ばれるアフリカへの投資拡大が焦点。石破茂首相は開会式で、インド、中東、アフリカを一体として自由で公正な経済圏の構築を目指す新経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を発表した。
首相は今後3年間で、最大55億ドル(8107億円)のアフリカ開発銀行と協調した資金協力や、人工知能(AI)人材での3万人を含む30万人の人材育成を表明。日アフリカの産学官代表で、経済連携強化に関する検討委員会も設置する。首相は「有言実行の証しとして今回、300件以上の協力文書が結ばれる」と述べ、共に課題解決に取り組む「共創」の方針を強調した。
新経済圏構想は、トランプ米大統領の関税措置で世界経済の不確実性が高まる中、日本外交の基軸である「自由で開かれたインド太平洋」と合わせて推進することで日本独自の経済戦略を打ち出す。将来の巨大な消費市場としてアフリカ全土の自由貿易圏作りを支援し、インドなどとの物流網整備も進めてインド以西の連結性を高める。影響力を強める中国などに比べ、日本企業の進出は遅れており、インドや中東に拠点を持つ日本企業の対アフリカ輸出を増やす。首相は今月末に訪日するインドのモディ首相とも構想を協議するとした。
会議は首相とアンゴラのロウレンソ大統領が共同議長を務め、国連のグテレス事務総長も出席。22日まで3日間で史上最多の500以上の行事も開く。首相はアフリカの「ビッグ4」と呼ばれるケニア、南アフリカ、ナイジェリア、エジプトを含め30カ国以上の首脳とも会談する。【田所柳子】
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