次週で「夏競馬」が終了して、9月からはGⅠに向けたトライアルレースが始まる。3歳GⅠは秋華賞と菊花賞になるが、そこに向けて調整を進めるため、先週あたりから春に活躍した重賞ウイナーも続々と栗東へ帰厩(ききゅう)している。
オークス馬カムニャックは先々週、栗東へ戻ってきたが、9月14日のローズSから始動予定。先週から追い切りを開始しているが、一回り大きくなった印象で楽々と速い時計をマーク。トライアルからどんな走りを見せてくれるか楽しみ。
このカムニャック、デビューする前から注目していた。注目した理由は管理する友道康夫調教師への取材はもちろんだが、トレーニングセンター(トレセン)で見た時のスケール感がいかにもオークス向きだと感じた。
2歳8月の新馬戦は2着に3馬身2分の1の差をつけて完勝したので、まだ10カ月近く先のレースになるが、この時点で「オークスはこの馬」と決めていた。だから、その後2回のマイルでの負けは気にすることなく、実際のオークスでも本命を打つことができた。
GⅠレースに出走してきた時に初めてその馬を分析するのと、何カ月も前からその馬を知っているのと、どちらが的中しやすいか。これについては何とも言えないが、予想が楽しくなるのは間違いなく後者。デビューする前から「推し」ているわけだから、さも自分が一番この馬のことを知っているように思える。これが2歳戦、3歳戦の醍醐味(だいごみ)ではないだろうか。
私はすでに「来年のダービー馬」を見つけている。7月の小倉でデビュー勝ちしたベレシート。管理する斉藤崇史厩舎は今年のダービーをクロワデュノールで制しており、来年も勝てば厩舎連覇。そんな想像をしながら、ベレシートが早く栗東へ戻って、次のレースを走ってくれないかとワクワクしている。
たとえ、トレセンで取材できなくても推しの馬は見つけることができる。JRAが提供している新馬戦のレース映像を見て「これは!」と思えば、それを推せばよいし、もし、パドックなどで馬を見ることができれば最高。きっと、これから先もダービーやオークスを狙うような馬たちがデビューするはずなので、ぜひとも新馬戦に注目してほしい。(競馬ライター)
いうち・としあき
1976年生まれ。東大阪市出身。高校の同級生の影響で競馬に興味を持った。92年の菊花賞(GⅠ)を自身と同じように小柄なライスシャワーが制し、その魅力に取りつかれた。大阪経大卒業後、競馬予想サイトの運営会社勤務を経て、フリーライターに。
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