「いい加減にしろよ!」「え」 朝ドラ『ブギウギ』脚本家が綴る、思わず笑える夫婦日記

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絶賛放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)は、朝ドラ『ブギウギ』の脚本家・足立紳さんと妻・晃子さんのハードな家庭生活がベースになっています。そんな足立家の5年間を赤裸々につづった日記で、ドラマ原案『ポジティブに疲れたら俺たちを見ろ!!』から、夫妻の人間臭くてちょっぴり(!?)激しいやり取りを紹介します。

※本稿は、足立紳・晃子 著「ポジティブに疲れたら俺たちを見ろ‼」(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。


プロットの残りを妻に頭を下げて書いてもらった

2020年3月10日(火)

今年は新しいことを2つやる予定で1つは演劇、もう1つが高校教師だ(そしてこの日記もだ)。演劇は6月にやる予定で、高校は4月から授業が始まる。高校教師、良い響きだ。今日はその打ち合わせでとある都立高校へ妻と行った。

私が受け持つ授業は脚本の書き方だが、私は1人ではなにもできない人間なので、この仕事も妻と一緒にやることにした。

くれぐれも妻に付き添ってもらっているオッサンに見えないようにしなければならないが、もしかしたら、校長先生にはすでにそう思われているかもしれない。

3月17日(火)

喫茶店で6月にやる演劇のプロットを書く。午後からテレビドラマの打ち合わせに行くので、プロットの残りを妻に頭を下げて書いてもらう。たまにこちらが思いもしないアイデアが出てくることがあるから、妻にお願いすることはたびたびある。

夜、家に戻ると、妻のプロットがあがっていた。一読してあまりの酷さに頭に血がのぼる。素人なのだから仕方がないと言えば仕方がないのだが、こちらはやはり期待してしまう。しかも、執筆をお願いする時は土下座せんばかりに頭を下げているのだ。叩き起こして怒りをぶつけたい衝動をグッとこらえて、風呂に入る。

妻より
夫は「プロットの残り書いといて。主人公、もがきながらも前向きな感じで」などと雑な無茶ぶりをして家を飛び出ていきました。私はやらねばならない作業が溜まっていたのですが、締め切りを守らないと関係者に迷惑が掛かると思い、わからないながらも必死で書いたのに、この言いざまです......。ギャラもなければネギライもなく、ダメ出しばかり。この甘ったれ中年、どうしたらいいのでしょう......。

4月25日(土)

朝、妻と散歩。というか、妻は以前から歩いているので、妻にくっついて私も歩くことにしたのだ。妻はこの朝の散歩時間だけが1人の時間だと大切にしていた。

が、私だって1人の時間などない。散歩中、私がペチャクチャと色んな人の悪口とか世の中の悪口とかをしゃべっていると、「うるせぇ、黙れ」と言われるので、嫌がらせに余計話したくなってしまう。

妻より
でかい声で、人の悪口やどうでもいいことをネチネチ一方的に話しているので、聞くに堪えません。勝手にずっと付いてくるので、無の心境で歩いてます。


毎朝の散歩中、私は必ず一度は妻を怒らせる

6月11日(木)

毎朝の散歩中、私は必ず一度は妻を怒らせる。余計な一言を言っているらしいが、結婚18年、その前の付き合いも合わせれば23年以上になるが、いまだに妻の怒りのポイントがわからない。

いやなんとなくはわかっているが、そんなことで怒るような人になってほしくないと思い、改善してほしくて私は余計なことを言い続けているのだ。ということを伝えると、妻は「余計なお世話だし、お前何様だ。人を無理矢理変えようとするな。とにかくお前が余計な一言をやめれば争いは3分の1になる」と言う。妻だって私を無理矢理変えようとしている気がするのだが......。

6月17日(水)

朝、妻がタンクトップなのかよくわからないが、露出度高めの格好で無理矢理息子にランドセルを背負わせていると、いつも迎えに来てくれる友達のM君に息子がニタニタしながら「ねえねえボクのママのオッパイ見る?」などと言っている。ランドセルを蹴飛ばされて追い出された息子は「ひどいでしょ、ボクのママ」と言いながらM君と学校に行った。

7月11日(土)

妻と散歩する習慣はまだ続いている。毎朝2つの神社に行って、夫婦で入念に神頼みをするのだが、妻の祈る時間はすごく短い。そんなので神様に通じているのかと心配になるくらい早い。

9月1日(火)

短い夏休みが終わり、親にとっては待ちに待った新学期だ。娘と息子を見送って帰宅すると、妻が不動明王のような顔で待ち構えており、いきなり怒鳴りだした。

「テメェよぉ! 子供の前だから我慢したけど、いい加減にしろよ!」「え」と訳もわからずキョトンとしていると、なんでも私が朝食のお皿を片づけていた時、食器を洗っている妻の胸の先をケチャップ容器の先でかすめたというのだ。それで妻は頭から湯気を本当に出して怒っている。

「食器洗ってて両手使えない時に突然オッパイ突っつかれて喜ぶバカがいるか!」

確かにケチャップで胸をかすめたのはわざとではある。だが、ここまで怒ることに驚き、誤魔化そうとした。「いや、オッパイじゃなくて乳首だよ」。

「はぁ? バカ野郎っ! 痴漢ジジイみたいに相手の尊厳踏みにじってるのがわかんねえのかよ、このクソハゲ! テメェもすれ違いざまに金玉握り潰すぞ!」と地獄の底から響き渡るような声でさらに怒鳴るので謝ったが、「もう今日、取材行かねえ。オメェ1人で行きやがれ」と言って出て行ってしまった。そういえば、今日は夕方に妻と一緒に『喜劇愛妻物語』について取材を受ける予定だったのだ。

まあどんなに怒り狂っても取材をすっぽかすようなことをするタイプではないからいいのだが、しかし、すれ違いざまにオッパイをさらっと触るくらい、若い頃は「ヤダ、バカ」と笑って許してくれていたのに、どうしてこうも変わってしまうのだろうか。

妻より
朝の忙しい皿洗い中(しかも新学期で子供たちが行き渋っているなか)に、突然固いモノでオッパイを突つかれることと、付き合い始めの頃の話は違う話だと思いますし、私が怒った内容を考えるのではなく、不意に怒った私を責めるというのも違うと思うのですが......彼にここを理解してもらうのは難しいかなと思います。

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