ツキノワグマ「保護」→「管理」 和歌山県が方針転換 出没顕著に

Date: Category:速報 Views:3204 Comment:0

親子とみられるツキノワグマ=秋田県鹿角市で2022年8月8日、佐藤岳幸撮影 拡大
親子とみられるツキノワグマ=秋田県鹿角市で2022年8月8日、佐藤岳幸撮影

 絶滅のおそれがあるとして保護政策を行ってきた紀伊半島に生息するツキノワグマについて、和歌山県は殺処分を含めた管理に方針転換する。2024年度の調査で絶滅の危惧が低下していることが判明したことに加え、人の生活圏への出没が顕著になっていることから、県民の安心・安全を最優先とした管理計画を策定する。

 奈良県と三重県を含む紀伊半島に生息するツキノワグマは、環境省レッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」とされる。同省の指針では400頭以下は保護対象となり、1998年度の調査では推定180頭で、基準を下回っていた。しかし、2024年度の同省と紀伊半島3県による調査では467頭まで回復していることが確認された。また、県のまとめによると、23年度は48件だったツキノワグマの目撃情報が、24年度は180件に急増。記録が残る04年度以降では10年度の97件を上回り、最多となった。

 県自然環境課によると、捕獲されたツキノワグマは、原則として人里に近づかないように学習させてからクマの生息域に放してきた。県が策定中の管理計画案では、クマの繁殖や生息を担保するのに重要な奥山を中心とした「コア生息地」と、人の生活の安全を優先する「防除地域」と「排除地域」を設定し、中間の「緩衝地帯」を含めて四つに区分けしてツキノワグマと人の共存を図る。防除と排除の両地域で捕獲したクマは原則、殺処分となる。コア生息地と緩衝地帯でも、人的被害が発生した場合などには捕獲して殺処分する。

 一方、生息数の急減を避ける必要もあり、捕獲の上限を生息数の8%以下に制限する。クマの生息域は奈良県と三重県にもまたがるため、両県とも協議しながら生息数を管理していくという。

 県は管理計画案について9月16日までパブリックコメント(意見公募)を実施し、秋にも施行したい考え。【駒木智一】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.