戦後80年にちなみ、日本の敗戦後、米兵と結婚し、海を渡った日本人女性の半生を追った舞台「WAR BRIDE―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン―」が東京都千代田区のよみうり大手町ホールで上演中だ。激動の時代を生きた女性の葛藤や苦悩を当時の世相とともに表現している。
原案は、2022年12月にTBSで放映された「War Bride 91歳の戦争花嫁」。連合国占領下、日本に駐留していた米兵と恋に落ち、20歳のときに結婚して渡米した、桂子・ハーンさん(94)の人生をたどったドキュメンタリーだ。米国移住後は夫のフランク・ハーンさんの実家があるオハイオ州に住み、家族に温かく迎えられたものの、米国社会の人種差別は桂子さんだけではなく夫妻の子どもをも苦しめた。
舞台では、敗戦国の女性に向けられる視線に耐えながら「日本を愛する米国人」として生け花や習字など日本の文化を広めることに尽力した主人公の姿が描かれる。俳優の奈緒さんが桂子さん役、ウエンツ瑛士さんがフランクさん役で、そのほか高野洸さん、山口馬木也さん、占部房子さんらが出演する。
フランクさんは2006年にこの世を去り、「日米の架け橋」となった桂子さんは現在、戦争の記憶や自身の経験を次世代に伝える活動に力を注いでいるという。
東京公演は27日まで。9月6、7日は兵庫県西宮市の同県立芸術文化センターで、13、14日は福岡県久留米市の「久留米シティプラザ ザ・グランドホール」でも上演。詳細は「WAR BRIDE」の公式ホームページ。【明珍美紀】
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