ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は22日、和平に向けた両国の首脳会談について、ロシアが消極的な姿勢を続けた場合、支援国が追加制裁を科すべきだとの考えを示した。北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長との首都キーウ(キエフ)での会談後、記者会見で述べた。
首脳会談の開催を巡り、ロシアのラブロフ外相は19日、国営テレビで「プーチン大統領は拒否しないと繰り返し述べている」と語った。しかしその後、ロシア側は「準備が整っていない」として、日程などへの言及を避けている。このため欧米では、ロシアが制裁を逃れつつ、戦闘を継続するための時間稼ぎをしているとの見方が強まっている。
ゼレンスキー氏は現状について「ロシアは首脳会談の開催を回避するため、あらゆる手を尽くしている」との見方を示し、「会談から逃れられないよう、全ての手段を講じるべきだ」と強調。そのうえで「ロシアが外交的解決に踏み出さない場合、強力な制裁が必要だ」と述べた。
ゼレンスキー氏によると、ウクライナ側は当初からプーチン露大統領、トランプ米大統領との3者会談を求めているが、ロシア側は、まずウクライナとロシアの首脳会談を開き、その後に米国を加えた3者会談を開催する案を提示しているという。ゼレンスキー氏は「最も望ましいのは3者による即時の会談だが、トランプ氏の意向に従う」と述べ、ロシア側と早急に開催場所や日時を協議すべきだとした。
一方、ゼレンスキー氏はルッテ氏との会談で、停戦後の「安全の保証」について議論した。加盟国への攻撃を全体への攻撃とみなして防衛する北大西洋条約第5条と同様の集団的自衛権の枠組みや、ウクライナ軍の強化について話し合ったという。ただ、ゼレンスキー氏は「(停戦後のウクライナに)部隊を派遣する国や、偵察・情報収集を担う国、資金援助を行う国などの役割分担の詳細を語るには時期尚早だ」と述べた。
また、ロシアが欧米による安全の保証への関与を求めていることについて、「(停戦後に想定する)攻撃者はロシアだ。ロシアが我々を攻撃し、領土に侵攻している。攻撃者が求める安全の保証とは何なのか、理解に苦しむ」と反発した。【ブリュッセル宮川裕章】
Comments