
太平洋戦争末期の沖縄で、看護要員として動員されたひめゆり学徒隊に着想を得て描かれた漫画「cocoon(コクーン)」(2010年、秋田書店)。繰り返し舞台化されてきたが、戦後80年の節目にアニメ化され、地上波で初めて放送される。形を変えて読み継がれる理由とは。作者の今日マチ子さんに聞いた。【聞き手・椋田佳代】
――cocoonは戦争をテーマにした初めての作品です。なぜ描こうと思ったのでしょうか。
◆沖縄出身の編集者からの提案がきっかけでした。彼女の親戚が沖縄戦犠牲者の名前を刻んだ「平和の礎(いしじ)」に新たに追加され、彼女が沖縄戦について考えてみたいと「ひめゆり平和祈念資料館」を訪れた後に提案されました。
私自身はデビュー作を出した後で、もちろん戦争を扱った作品の経験はありません。非常にセンシティブなテーマで、自分に描く資格があるか分からないといったんは保留しました。しかし、少女の視点から見た物語として描いてみないかと提案され、チャレンジすることにしました。
――絵は柔らかいタッチですが、ガマ(自然壕(ごう))の中で麻酔なしに足の切断手術をする場面や、学徒隊の解散命令が出て少女たちが手りゅう弾による自決に追い込まれる場面のほか、兵士による性暴力も盛り込んでいます。
◆「痛い」「怖い」こともき…
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