福岡県大牟田市は30日、三井化学大牟田工場の有毒ガス漏れ事故で、出動した市消防本部隊員30人のうち26人が2次被害を受け、救急搬送されたり自ら病院を受診したりしたことを明らかにした。同社は27日午後5時半ごろにガス漏れを覚知したが、消防や警察に情報を伝えたのは約1時間後で、市は「検証して改善する必要がある」とした。
市によると、27日午後6時過ぎから工場周辺から119番が相次ぎ、消防が出動した。「硫黄臭がする」といった情報があり、隊員は防毒マスクをしていたが、傷病者からの聞き取り時などはマスクを外す必要があり、2人が体調不良となって救急車で病院に搬送された。残る24人もせき込みなどの症状が出て自主的に受診した。「全員軽症だったのが不幸中の幸い」(市消防本部幹部)だったという。
市や同社は毎年、同工場での事故を想定した合同訓練をし、事故発生時は速やかに119番すること申し合わせていた。しかし、同社は28日の記者会見で、事故直後は対応に追われて消防や警察へ通報をしておらず、27日午後6時半ごろ、出動した消防隊員らが工場に駆け付けた時にガス漏れを伝えたと明らかにしている。
市の吉田尚幸消防長は「発災直後に連絡があれば被害状況は変わっていたのかなと思う」、関好孝市長は「訓練が機能していなかった。連絡体制を強化し、速やかに情報共有する取り組みを進める」と述べた。【降旗英峰】
Comments