トランプ米大統領は25日、米国の国旗を燃やしたり、冒とくしたりした者を訴追するよう司法長官に指示する大統領令に署名した。連邦最高裁は1989年に表現の自由などを定めた合衆国憲法修正第1条によって国旗を燃やす権利は守られているとの判断を示している。大統領令によると、今後に予想される訴追と訴訟を通してどのような行為が修正第1条で守られる範囲なのかを明確にすることが視野にあるという。
トランプ氏はホワイトハウスで大統領令に署名した際、記者団に「米全土、そして世界中で米国旗が燃やされている」と指摘。国旗を燃やすことは「暴動を扇動する」と主張し、個人的な考えとして「国旗を燃やせば1年の収監だ」などと述べた。
大統領令では、「米国旗を冒とくすることは、我が国に対する軽蔑、敵意、暴力の表明だ」と強調した。国の象徴である国旗を冒とくしながら、暴力を扇動したり法律違反をしたりする者を訴追するとし、司法長官に対応を命じた。外国人が国旗を冒とくした場合はビザや在留許可の取り消し、国外退去を求めるよう国務長官らに指示した。
米国旗を燃やす行為を処罰すべきだというのはトランプ氏の持論だ。2016年にも国旗を燃やす抗議活動に対し、拘禁刑を科すか市民権を剥奪すべきだと主張していた。
英調査会社ユーガブが23年9月に米国の成人を対象に実施した世論調査では、抗議活動としての米国旗の焼却について、59%が「常に受け入れられない」と回答した。【ワシントン西田進一郎】
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