静岡県伊東市は25日、市議会9月定例会への提出予定議案を発表したが、補正予算案を全く提出できないことを明らかにした。田久保真紀市長の学歴詐称疑惑の影響で市政の混乱が目に見える形となった。ごみ焼却炉の付帯設備の補修費など早急に予算を組む必要があり、市幹部は「前代未聞だ」と頭を抱えている。
9月定例会の補正予算案は通常7月に調整し、8月に議案として策定する。昨年は4件の補正予算案が策定された。だが今年は7月7日に田久保市長が辞意を表明したため、市は市長選後の新市長の下で補正予算案を策定することを想定。田久保市長が辞意を撤回した同月31日からでは、間に合わなかった。
市環境美化センターは市内の可燃ごみを多い時で1日に百数十トン処理している。今回は炉の温度調整機器やガスフィルターの補修など5000万円の予算が必要で、補修しないと最悪、炉が使えなくなり、ごみ回収に影響が出ることもあるという。このほか定額減税関連の給付事業や伊東商工会議所が実施している住宅リフォーム助成金の市補助金で追加の予算案を作れなかった。
田久保市長は初登庁した5月29日に新図書館建設計画を中止したが、学歴問題が長期化。市幹部によると市長と市幹部が話し合う政策会議の場などで市長選で公約としていた経済対策や公共交通の充実など新たな施策の指示は出ていないという。【若井耕司】
Comments