生活のため、自分の適性を活(い)かすため、これまで抱いて来た夢や野望のため、家族のため――、問題なのはいくらでも列挙できるそれらが、自分にとって説得力を持っていないことに気付くことだ。そこに確実にあったはずの説得力がいつの間にか抜け落ちてしまっていて、宝石に見えていたものがただの石ころにしか見えなくなっている。僕を世界に結わえ付けてくれていたものがもう僕を縛ってくれない。
だが、別の世界では、僕と全く同じように見える鳥が、世界を救おうとしている。そのことを知った今なら、また別の見え方ができそうな気がする。
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