性格と血圧の関係、早大チームが追跡調査 「誠実な人」はリスク低く

Date: Category:速報 Views:1193 Comment:0

早稲田大学=東京都新宿区で2019年3月、嶋野雅明撮影 拡大
早稲田大学=東京都新宿区で2019年3月、嶋野雅明撮影

 日本人の3人に1人が患っているとされる高血圧。心筋梗塞(こうそく)や腎不全など、高血圧が引き起こす病気で年間1万人以上が亡くなっている。年齢や体形、生活習慣などが血圧に影響することはよく知られているが、性格も影響するのだろうか。

 早稲田大の鄧思昕(とうしきん)・招へい研究員らのチームは、日本に住む成人約7300人を2019~22年にかけて追跡した調査結果を分析。高血圧を新しく発症したり高血圧が3年以上継続したりするリスクと性格との関連を調べた。性格は、誠実性▽協調性▽外向性▽神経症傾向▽開放性――で言い表す「ビッグファイブ性格特性」を使って評価した。

 その結果、自分を律し、計画的に行動する傾向がある誠実性の高い人ほど、新たな発症や継続のリスクが低かった。鄧さんは「定期的に健康診断を受けたり、健康的な食生活や運動習慣を続けたりと、地道で健康的な行動を継続しやすいことがリスク軽減の大きな要因になった」と分析する。

 一方、知的好奇心や新たな経験への興味が強いという特性がある開放性の高い人ほど、高血圧が継続するリスクが高くなった。多様な活動を試してみたいという欲求が強い半面、交通渋滞のように自分の行動ではどうにもならない状況で強い不満やいらだちを感じやすいとし、「日常生活ではコントロール不能なストレスが頻繁に起こる。その度に血圧が上昇して血管に負担が蓄積し、慢性的な高血圧につながるのではないか」とみる。

性格と高血圧リスクの関係性のイメージ 拡大
性格と高血圧リスクの関係性のイメージ

 ただし、調査期間が新型コロナウイルスの感染拡大期に重なっていたことから、外出や交流の機会を奪われたことで他の性格の人以上にストレスを感じた可能性も考えられるという。

 こうした結果から、「性格を考慮した健康支援が、生活習慣病の予防や管理に役立つ可能性がある」と提案する。例えば誠実性の低い人は、薬を飲み忘れたり日々の血圧測定を怠ったりする可能性があり、スマートフォンアプリの通知や、看護師による週に1度の確認連絡などで、習慣化する方法がある。

 開放性が高い人は、単調なウオーキングなど毎日同じ運動では飽きるかもしれず、水泳やダンスなど、複数の運動を組み合わせて楽しみながら継続できるよう支援することが重要だ。

 鄧さんは「性格を無理に変えるのは大きなストレスだ。それよりも、性格の得手不得手を知れば、対策を立てられ、自分に合った健康的なライフスタイルを見つける第一歩になる」と話す。

 チームの研究成果は7月24日付で心理学の国際学術誌のオンライン版に掲載された。【小川祐希】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.