東京電力柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は28日の定例記者会見で、テロ対策施設の完成の遅れなどから早期の再稼働が困難となった同原発7号機から装着済みの核燃料を取り出すと発表した。
東電によると、原子炉格納容器のふたを開けるなどの準備作業を10月14日から始め、同21日から2週間程度かけて、装着済みの核燃料872体を使用済み燃料プールに移す。7号機はテロ対策施設完成予定の2029年8月まで運転できなくなる。
会見で稲垣所長は核燃料の保管について、原子炉でも燃料プールでも「原子力安全上のリスクはほぼ変わらない」と改めて指摘。その上で、燃料プールに戻す理由として「自然現象で事故が起きた場合に、燃料を守る上で1カ所に注水を集中させるなど対応がシンプルになる」と述べ、管理や運用のしやすさを理由に挙げた。
再稼働を巡って東電は、7号機を優先する方針を示してきたが、7号機のテロ対策施設の設置期限が10月に迫る中、地元同意がいつ得られるかが見通せず、設置期限が29年9月までと余裕がある6号機の再稼働を優先する方針に転換した。
6号機は現在、核燃料の装着が完了し健全性確認を実施しているが、会見で稲垣所長は核分裂反応を抑制する燃料棒の動作確認試験で、制御棒1本が挿入位置から引き抜けなくなる不具合が発生したことを明らかにした。原因は調査中という。
稲垣所長は、この不具合の影響で健全性確認は目標としていた8月中には完了せず、再稼働の技術的な準備が整うのは9月以降にずれ込むとの見通しを示した。【内藤陽】
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