5月に起きた埼玉県白岡市役所本庁舎の火災について、同市は28日、1階の床コンセントへの可動式プラグの差し込み不良が出火原因とする調査報告書を公表した。短時間で急速に燃え広がった理由として、防犯カメラの映像から、事務机上のリチウムイオン電池が燃えた可能性が高いとした。
会見した藤井栄一郎市長は「庁舎を統括する立場として、責任を重く受け止める」とし、市長の10月分給料を30%、副市長を同20%、それぞれ減額する条例案を9月市議会に提出する。
報告書は、市の調査や埼玉東部消防組合からの情報提供を受けてまとめた。出火場所は1階税務課納税コールセンター。床コンセントへのプラグの差し込みが十分でなかったため、接触不良で電気抵抗が高くなり、プラグの樹脂部分が発熱して発火したとみられる。その後、ゴミ箱として利用していた段ボールや周囲の書類などに燃え広がった。
防犯カメラには出火直後、「爆発したかのような激しい閃光(せんこう)」が映っており、火災が急速に燃え広がったことが分かっている。これについては「事務机の天板の温度が上昇し、机上に置かれたリチウムイオン電池が燃焼した」ことが原因の可能性が高いと推定したが、職員からの聞き取りなどでは電池や内蔵機器の存在は確認できなかったという。
再発防止に向けて、有識者によるオフィスレイアウトの検証や、定期的な防火研修などに取り組むとした。
火災は5月6日午前11時16分ごろに発生、1階の執務室約800平方メートルを焼き、約6時間後に鎮火した。本庁舎は全体が使用できなくなり、現在も隣接する市の施設が臨時庁舎として利用されている。市は11月下旬の入居を目指し、職員駐車場にプレハブ仮庁舎を建設する工事を進めている。【萩原佳孝】
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