
日銀が31日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、日米両政府の関税交渉が15%で合意したことを受け、国内外の経済に与える不確実性の低下を示す内容となった。企業業績に与える大きさを見極めたい日銀は、交渉中に「棚上げ」状態だった政策金利の引き上げ時期を探る段階に入っていく。
「今後、(経済指標などに)影響が少しずつ出てくる局面に入るかと思う。どれくらいの期間(で影響が出る)かは現時点で確定的なことは言いにくい」。会合後の記者会見で利上げの時期を聞かれた植田和男総裁は、時期の明言を避けつつ、関税が与える経済への影響について言及した。
市場が関心を寄せたのは、関税合意を受けたリポートの書きぶりだ。25%とされていた関税率が15%で合意したことで、経済への悪影響の度合いは小さくなる。リポートでは合意を「前向きな動き」と歓迎。今後の経済・物価に与える不確実性について「高い状況」としながらも、前回リポートで使った「極めて高い」との表現を弱めた。
日銀は…
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