
(明治書院・5500円)
国語辞典のイベントあり、辞書編集者や辞書ファンの発信あり、辞書編集が小説にもドラマにもなっているが、辞書が売れないと言われて久しい。しかも、日本では「辞書学の不在が課題」と本書の編者、石黒圭氏は言う。そこで、辞書編集・研究の一線の執筆陣が日本語学習者向け「理想の辞書」を追求した論文集が編まれた。
学習者への調査を基に「適切な意味にたどり着けるか」「自然な文を書けるか」「句読点や記号を使いこなせるか」「メールを『打つ』ことができるか」などそれぞれの観点で辞書の課題をあぶり出している。膨大な言語データを分析して語彙(ごい)資源を活用する研究や、使用実態に基づいた人工知能(AI)の可能性と限界の探究もある。
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