死亡率高い"高速2車線区間"の事故防ぐには 遠出前にチェックを

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松山自動車道で発生した交通死亡事故の現場=愛媛県警提供 拡大
松山自動車道で発生した交通死亡事故の現場=愛媛県警提供

 四国の高速道路で7月に交通死亡事故が2件発生した。いずれも暫定2車線区間(対面通行)で、対向車がセンターラインを越えたことが原因とみられている。高速道路の2車線区間で事故が発生した場合、死亡率が高いとされるが、徳島自動車道で約7割、松山自動車道で約3割が2車線のままだ。愛媛県内では死亡事故の多発を受けて7月に緊急事態宣言が発令されたこともあり、マイカーでの遠出の機会が増えるお盆休みを前に関係者らが注意喚起している。

 死亡事故は、徳島道で7月14日、松山道で同17日にそれぞれ発生した。徳島道での事故ではいずれも愛媛県の高速バスとトラックが衝突し、トラックの男性運転手とバスの乗客計2人が死亡、12人が重軽傷を負った。徳島県警が詳しい事故原因を捜査中だが、トラックのタイヤがバースト(破裂)したのが一因との見方も出ている。

 一般社団法人「日本自動車連盟(JAF)」愛媛支部の担当者によると、2024年度に高速道路へ出動した655件のうち、四輪車のタイヤのパンク、バーストは計256件と最多だった。担当者は「パンクとは違い異変を感じることが難しく、ドライバーにとってはいきなり破裂したような状態となる。路面温度や気温が上昇する夏場は特に注意が必要」と警鐘を鳴らす。

 タイヤのトラブルを未然に防ぐにはどうすればいいのか。JAFの担当者によると、バーストはタイヤの空気圧不足やゴムの劣化、硬化などで起こるため、「日ごろからタイヤの状態を確認しておくことが重要」という。特にマイカーで旅行や帰省先へ向かう場合は、事前に点検しておくと安心だ。空気圧はガソリンスタンドなどでドライバー自身が計測することが可能だが、自動車販売店などでも点検してもらえる。また、タイヤは紫外線に当たると劣化が早まるため、屋内などでの保管が推奨されている。

 四国の高速道路を管理する西日本高速道路四国支社(高松市)によると、2車線区間はそれぞれ、徳島道は全長約106キロのうち約74キロ、松山道は全長約143キロのうち約42キロある。松山道の一部区間では現在、4車線化の工事中で、25年4月に伊予インターチェンジ(IC)~内子五十崎ICの一部区間(6・3キロ)の工事が完了したが、全線が4車線化されるのは「事業計画もなく、いつになるか分からない」(同社の担当者)。19年に全線4車線化した高松自動車道では、死亡事故が4割減少したとのデータもあるという。

 愛媛県警によると、県内の今年の交通事故死者数は計32人(7月末現在)と、人口10万人当たりの死者数が全国ワーストだ。県警では松山道内のサービスエリアなどで啓発チラシを配っているほか、4日にはJAFなどともに、松山道伊予灘サービスエリア内で走行車両のタイヤの緊急点検を実施するなど、注意喚起を強めている。【広瀬晃子】

空気圧を点検するJAFの担当者=松山市で2025年7月29日午前11時28分、広瀬晃子撮影 拡大
空気圧を点検するJAFの担当者=松山市で2025年7月29日午前11時28分、広瀬晃子撮影

トラブル防ぐ4つのポイント

 バーストやパンクなどタイヤのトラブルを防ぐための主な方法をJAFに聞いた。

 ①タイヤの空気圧が適正か定期的にチェックする。空気圧の適正値は車の運転席側のドアに添付しているシールに記載している。

 ②タイヤの使用年数や溝を確認する。タイヤに計6カ所ある窪み(スリップサイン)が出た時が交換する目安。溝があっても長年使っている場合は、ゴムが硬化したり、劣化している可能性が高いため危険だという。

 ③タイヤは紫外線に弱いため、日ごろ使用しない冬用、夏用タイヤは屋内で保管する。屋外ではカバーをかけるなどして、直射日光を避ける。

 ④長距離ドライブをする前に必ず点検する。長時間にわたってハイスピードで走行する高速道路では、特にタイヤにトラブルが発生しやすい。

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