
臨時国会が召集された1日、7月の参院選で当選した参政党の新人議員たちも初登院した。党は「日本人ファースト」を掲げ、外国人の受け入れ制限や永住権の取得要件の厳格化を主張。さらに「外国人は生活保護で優遇されている」などと根拠に乏しい言説を展開し、一大勢力に躍り出た。長年日本で暮らす華僑の目には、こうした状況がどう映るのか。観光客でにぎわう横浜中華街を訪ねた。
年間約2000万人が訪れ、世界最大級の約600店舗が軒を連なる横浜中華街。平日でも観光客でごった返す街の一角に、神奈川県内の中国人出身者で構成する「横浜華僑総会」のオフィスがある。華僑の権利を守るとともに、日中友好を推進する団体だ。
出迎えてくれた顧問の曽徳深さん(85)は、父が貿易の仕事で来日し、1940年に横浜で生まれた「ハマっ子」だ。終戦直前の45年5月にあった横浜大空襲で焼け野原になった中華街で育った。
幼い頃の記憶には、壊滅状態の中で日本人の男性大工が、貴重な材木を集めて家や店舗を建て直してくれたことが鮮明に残る。中華街周辺には闇市ができ、連合国側の中国人が食料や物資を日本人に分け与えたこともあった。曽さんは「戦前から国家間の争いごとがあっても、庶民レベルでは食べ物を恵み合い、お互いに支え合って…
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