カプセルトイが日本へ輸入されてから今年で60周年。それを記念した展覧会『60周年記念 ガチャガチャ展』(8月15日まで)が、東京・千代田区の丸ビルホールにて開催されています。
今回、展覧会の様子を取材すると共に、2012年に発売されてから話題となった『コップのフチ子』や、実際にかき氷を作ることができるかき氷器のカプセルトイの制作過程についてメーカーに話を聞きました。
■『ガチャガチャ展』とは

この展覧会では、カプセルトイの歴史を振り返るほか、11社のカプセルトイメーカーと5人のクリエーターがブースに分かれて紹介され、約400シリーズの商品が展示されています。また、ものづくりへのこだわりや制作過程をまとめた資料も見ることができます。

さらに、会場中央には“ガチャガチャストリート”と題し、約200台のカプセルトイが設置され、実際に商品を購入することができます。
■『コップのフチ子』誕生秘話

近年のカプセルトイ界の大ヒット商品といえば、『コップのフチ子』。2012年に発売されて以来、シリーズ累計2000万個以上(メーカー発表)を売り上げた人気商品です。その制作裏話を、発売元のキタンクラブ・広報の齊藤二紀さんに聞きました。
――『コップのフチ子』はどのようにして誕生しましたか?
『コップのフチ子』は、マンガ家のタナカカツキさんと共作していて、コップの縁とかに引っかかるというところで、またひとつ要素が増える(商品)というところと、普通のOLの格好をしたキャラクターがたたずんでいるという姿のギャップが、(社内で)面白いと話題になりました。
――制作の過程で大変だったことはありますか?
コップの縁に引っかかる機能性と、キャラクターの見た目の魅力の両立が必要なので、大量生産する際に1ミリとかちょっとでもズレてしまうと、コップに引っかからなくなっちゃうということがあって、全てのクオリティーを保つというのがかなり大変でした。
■“面白い!”から生まれたカプセルトイ

――会社での企画会議はどんな様子ですか?
A4の用紙に手書きのイラストなどを描いたものを見せて、みんなが“おっ!”って笑いが生まれたり、声が上がったりしたら企画がOKってことで。本当に面白いか面白くないかというだけで企画が進みます。
――“面白い!”となったカプセルトイは他にもありますか?
『ばあちゃんちのでんき ストラップ』というのがあるんですけど、実家とかでよく見るタイプの電気で、(ひもをひっぱると)光って、次に常夜灯に変わって、消えるという3段階の仕組みになっています。(企画担当者が)光って面白いものないかなって考えたときに、実家に帰られたときに“これだ!”ってなったみたいで。2回光るというこの仕組みが、その企画の(テーマだった)“光るもの”とマッチして、全員で“これは面白い”となりました。
■ミニチュア“かき氷器”をカプセルトイに

続いては、トイズスピリッツが手がけるカプセルトイの“かき氷器”。第1弾の発売から人気のシリーズで、その第4弾となる『本当に作れる!レトロかき氷器&シロップサーバー〜夜空の華〜』は、シロップサーバーが加わって今年6月に発売されました。ミニチュアで制作する苦労について、トイズスピリッツの代表取締役・西村圭太さんに話を聞きました。
――商品開発のきっかけを教えてください。
うちの商品自体が、動きやギミックがあるミニチュアを作るのが得意で、この開発の時にはめちゃくちゃ暑かったんです。本当のかき氷器で、かき氷屋さんがガリガリやっているのを見て、“これ作ろう”っていうのがきっかけだったと思います。

――制作の中で大変だったことはありますか?
ミニチュアなので、大きいものと違ってなかなかうまく(氷が)削れない。大雑把に削ってしまうと、ミニチュアなのですぐ溶けてしまう。なので、削ったときにきれいにするにはどうすればいいのか、刃の角度も何回も調整してやっと(完成に)たどり着いたという苦労はありました。開発期間は、初動から大体1年間ぐらいかかりました。

――衛生的には何かこだわられていますか?
食品衛生法の検査もきちんと出して、証明書もしっかり用意して、そういうことに関しては結構コストをかけています。ギミックというのは、会社のひとつの軸として、これからも面白いものをどんどん開発していきたいなと思います。
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