次週『あんぱん』では史実より早く「いずみたく」登場? やなせたかしと彼を繋げたのは誰もが知る「鬼才」だった

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いずみたくとやなせたかしが初めて出会ったのは

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』90話の最後、次週第19週の予告では大森元貴さん(Mrs. GREEN APPLE)演じる「いせたくや」が登場しました。彼のモデルは、「柳井嵩(演:北村匠海)」のモデルであるやなせたかしさんと一緒に名曲「手のひらを太陽に」を作ったほか、ミュージカル版の『アンパンマン』など、さまざまな仕事をした作曲家のいずみたくさんです。

『あんぱん』の舞台はまだ1940年代後半で、いせは史実よりも一足早く嵩と出会うものと思われます。実際にやなせさんがいずみさんと初めて会ったのは、1960年代に入ってからのことでした。そのふたりをつなげたのは、こちらも多くの人がご存じの大物です。

 1960年、面識のなかったやなせさんにミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の舞台美術の仕事を依頼してきたのは、当時20代ですでにラジオやTV番組の企画、演出を多数行っていた永六輔さんでした。永さんはその翌年、坂本九さんの大ヒット曲「上を向いて歩こう」の作詞を手がけます。

 やなせさんが「鬼才」と語る永さんは、ある日いきなりやなせさんの自宅に「お願いがあってやってきました」と、訪ねてきたそうです。やなせさんは、このときのことを自著『人生なんて夢だけど』(2005年初版)で振り返っていますが、なぜ永さんが会ったこともない、14歳年上の自分に舞台美術を頼んできたのかは、長年分からないままと語っていました。

 さまざまな仕事をしつつも、あくまでもメインは漫画家であるやなせさんが、舞台美術系の仕事が得意だったのかというとそうでもなく、「立体は不得手で自信は皆無」だったそうです。

 不思議なエピソードですが、ともかくそのミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の仕事で、やなせさんは作曲を担当していたいずみさんと運命的な出会いを果たします。やなせさんが初の舞台美術担当だっただけでなく、永さんもミュージカルは初演出、いずみさんもミュージカルの作曲は初めてと、初づくしの作品でした。テーマ曲の「見上げてごらん夜の星を」がいまも多くの人に親しまれている通り、同作は大成功をおさめます。

 そして、いずみさんと意気投合したやなせさんは、1961年に「日本教育テレビ(後のテレビ朝日)」の朝のニュースショーの構成の仕事をしていた際に、番組内の今月の歌として「手のひらを太陽に」の歌詞を作詞し、いずみさんに作曲を依頼しました。歌唱したのは、歌手の宮城まり子さん(『あんぱん』では久保史緒里さん演じる「白鳥玉恵」として登場予定)で、その後「手のひらを太陽に」は局の垣根を越えて1962年のNHK『みんなのうた』でも歌われています。1969年には小学校6年生の音楽の教科書に載るなど、誰もが知る名曲となっていきました。

『あんぱん』で史実の永さんの訪問よりも早く嵩といせが出会うということは、「手のひらを太陽に」誕生のきっかけとなる何かが描かれるのかもしれません。来週も要注目です。

参考書籍:『人生なんて夢だけど』(著:やなせたかし/フレーベル館)

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