「娘のため」始めた迷路作りが本業に 大企業とコラボ、受賞も

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吉川めいろさん=埼玉県越谷市で2025年7月14日、増田博樹撮影 拡大
吉川めいろさん=埼玉県越谷市で2025年7月14日、増田博樹撮影

 地図やご当地キャラクター、乗り物、企業の商品などさまざまな対象をモチーフにした迷路がインターネットなどで話題だ。作者は埼玉県吉川市に住む迷路クリエーターの吉川めいろさん(49)。趣味が高じ、昨年からは迷路が本業になった。迷路を地域活性化や交流拡大に役立てたいという。夢は世界にも広がっている。【増田博樹】

 ――なぜ迷路を?

 ◆幼稚園児だった長女を喜ばせようと、仕事で使っていたパソコン用ツールで作り始めたのがきっかけです。娘はすぐ飽きてしまいましたが、逆に自分がはまりました。2014年、多くの人に楽しんでほしいと「迷路.jp」というウェブサイトを開設しました。

 ――自治体や企業とのコラボによる作品が多いですね。

 ◆ツイッター(X)のフォロワーが多い地元企業の社名の迷路を作って発信してもらったところ反響があり、その後、自治体や企業からの依頼が増えました。迷路は普通の広告と違いじっくり見てもらえる点が評価されているのかと思います。Xで人気のあるシャープやタニタなど、自治体・企業とのコラボは数百件に上ります。

 ――地元吉川市にも迷路を提供しています。

 ◆22年に始まった「吉川市脳活ドリル」で、先日第4弾が出ました。市役所や公共施設で無料で配布しています。スタートとゴール、どちらからでも難易度が変わらないように作ってあります。ゴールからもチャレンジしてみてください。

 ――印象に残っている作品は?

 ◆20年に兵庫県の会社の社名を迷路にした作品です。見開きの新聞全面を使った大きなもので、コロナ禍でステイホームだった多くの人に楽しんでもらえたようです。話題にもなり、世界最古の権威ある広告デザイン賞「ニューヨークADC賞」を受賞しました。

 ――迷路制作で気をつけていることは?

 ◆あまり難しくしないことです。行き止まりに当たっても戻りやすい長さにするなど比較的簡単にゴールできるようにしています。発注元の依頼で難しくすることもありますが、基本的にはストレスを感じず楽しんでもらえればと思っています。

 ――いま力を入れているのが迷路をデザインしたカードです。

 ◆3年前から始めた「MEICA(メイカ) ご当地迷路カード」で、現在100カ所以上の自治体の観光案内所や企業の関連施設、店舗などで配布・販売中です。マンホールカードや御朱印のように、その場所に行かないと手に入りません。関心を持った人に現地を訪ねてもらいたいという思いを込めています。

 ――さまざまなカードがある中でMEICAの特徴は?

 ◆特定の分野に絞っていないことです。カードに登場するのは地域の地図のほか、ご当地キャラや企業の商品、プロスポーツチーム、県のバーチャル観光大使「春日部つくし」のようなVチューバーまでさまざま。多様なジャンルのファンに各地を訪ねてほしいからです。また、同一地域で複数種類を用意することで、地域に来て、知って、さらに巡ってもらう。そんなきっかけにもしたいと考えています。

 ――今後の目標は?

 ◆カードが、異なる分野のファン同士の交流拡大にもつながればと思います。今後は海外展開もしたいと思っています。そのために、実はカード右下に「ワールドシリアルナンバー」を印字してあります。カードをきっかけにその国に行ってみるのはもちろん、逆に海外からも日本に来てもらえればうれしいですね。

吉川めいろ(よしかわ・めいろ)さん

 埼玉県北本市出身。本名・小澤裕心。ペンネームは「吉川市在住で迷路を作っているからという安直な理由」という。2018年に絵本「めいろどうぶつえん」を出版。長年、企業で取扱説明書制作に携わってきたが、昨年退職し迷路作り専業に。迷路以外の関心や趣味を聞くと、見せてくれたのは3Dプリンターで作った埼玉県の形をした立体迷路。迷路一筋だ。

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