
北朝鮮情報を専門とする韓国メディア「デイリーNK」が運営するシンクタンク「デイリーNKアンドセンター」が、中国で働く北朝鮮出身の労働者らについての調査報告書をまとめた。労働者の厳しい人権状況のほか、北朝鮮が新型コロナウイルス対策としての国境封鎖を解除した2023年夏以降も、新たに多くの北朝鮮労働者が中国入りしている実態も確認された。
同センターは昨年10月以降、独自ルートを通じて、水産加工工場で働く北朝鮮人の労働者23人と、この工場で働いた後に北朝鮮に帰国した7人の計30人(大半が女性)を対象に調査を実施した。他に工場の管理者として働く北朝鮮人3人と中国人2人、北朝鮮内にいる関係者3人からも話を聞いた。
報告書や同センターの説明によると、中国で調査した30人のうち20人はコロナ封鎖の解除後に中国に来た人たちだったという。
国連の安全保障理事会は17年の対北朝鮮の制裁決議で、加盟国に対し、北朝鮮労働者に就労許可を与えることを原則禁止し、19年末までに本国に送還するよう義務付けた。23年夏までは北朝鮮側による国境封鎖により送還が物理的に困難だったが、解除後も多くの北朝鮮労働者を中国が受け入れているとすれば、制裁は完全に骨抜きになっていることになる。
また、報告書は労働者に対する劣悪な待遇も明らかにしている。労働者の月給は3000元(約6万1000円)ほどだが、実際に労働者が受け取る賃金はその2割の約600元だった。差額は北朝鮮当局などに上納されているという。また金日成主席の誕生日など記念日には別途、金を徴収される。
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