「地震で集団避難」続く縁 輪島中の生徒、白山市の23人招き交流

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震災や豪雨災害を通じて学んだことをテーマに交流する輪島中と白嶺小中学校の子どもたち=石川県輪島市で、2025年8月4日午前11時37分、中尾卓英撮影 拡大
震災や豪雨災害を通じて学んだことをテーマに交流する輪島中と白嶺小中学校の子どもたち=石川県輪島市で、2025年8月4日午前11時37分、中尾卓英撮影

 2024年の能登半島地震の直後、石川県白山市に集団避難した輪島中(同県輪島市)の生徒が、受け入れてくれた白山市立白嶺小中の児童・生徒23人を同中に迎え、交流した。約1年半ぶりの再会で、生徒らは震災の経験や備えの大切さなどを語り合い、地震でできた縁を大切にしていくことを誓い合った。【中尾卓英】

 地震で輪島市ではライフラインが途絶し、輪島中の校舎も被害を受けた。このため、同中の6割を超える生徒が24年1月17日から3月末までの約2カ月間、白山市に集団避難し、白嶺小中で「間借り授業」を行った。

 交流会は、当時、両校の生徒らが交流する機会がほとんどなかったことから、輪島中PTAと白嶺小中育友会が企画した。

 4日にあった交流会で、輪島中の生徒らは総合学習の授業で学んだ防災や復興、まちづくりについて意見を発表。池澄稀央那(きおな)さん(3年)は「豪雨で亡くなった大切な先輩への悲しみを胸に、部活のバスケットや勉強を頑張っている」と話し、「普段から、避難場所への道を確認しておいてください」と呼びかけた。浅野楓夏さん(同)も「避難生活の後、弟や妹、両親、祖父母と家族7人で自宅で暮らせるようになった時の喜びは忘れない」と振り返り、「非常用バッグを準備するなど防災の大切さを伝えたい」と語った。

輪島中の山田忠和PTA会長(右端)の案内で、輪島市鳳至川沿いの震災と豪雨からの復旧状況を学ぶ白嶺小中の子どもたち=輪島市で、2025年8月4日午後1時42分、中尾卓英撮影 拡大
輪島中の山田忠和PTA会長(右端)の案内で、輪島市鳳至川沿いの震災と豪雨からの復旧状況を学ぶ白嶺小中の子どもたち=輪島市で、2025年8月4日午後1時42分、中尾卓英撮影

 白嶺小中の児童・生徒らは校歌やポップスを披露。また班に分かれてグループディスカッションなども行った。交流会後、白嶺小中の合田美琴(みこと)さん(中3)は「白嶺には輪島のみんなを癒やした手取川や白山、おいしいと喜ばれた野菜や米を使った自校給食など宝ものがいっぱいある。大切にしていきたい」と話した。

 その後、白嶺小中の児童・生徒らは、地震や豪雨の爪痕が残る被災地や市中心部、白米千枚田などを巡り、災害の恐ろしさや復旧・復興の様子などを見学した。祖父が輪島市出身という加藤尊勝さん(中3)は「被災した現場を見て胸が痛くなった。(祭りが地域のつながりや復興に役立つと聞いたが、自宅のある)白峰地区で伝統的に続く夏祭りを大切にしていきたい」と話した。

 児童・生徒らの表敬を受けた小川正・輪島市教育長は「白山市のみなさんが温かく迎えてくれたおかげで、震災を経験した輪島の子どもたちは目標と夢に向かって歩いています」と感謝。「そちらで何かあれば、今度は輪島のみんなで必ず助けにいきます」と約束していた。

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