![[ヤンマー・日本リーグ選抜]前半15分、生涯548点目のシュートが決まり、飛び上がって喜ぶ釜本選手=25日国立競技場](https://caiji.70m.top/data/images/fd/bd957f4161a65ec89096e6c2fab8ad.jpg)
釜本邦茂さんの言葉にはいつも愛があった。10日に81歳で亡くなった「日本サッカー史上最高のストライカー」は、自分を超える存在が出てくることを願い続けていた。
まだ面識がなかった2015年、初めて取材をお願いしようと恐る恐る電話をかけた。すると……。
「取材?今?ゴルフをしているから、また明日かけて」
あまりのフランクさに拍子抜けし、翌日、改めて電話をすると、取材の趣旨も聞かれないまま、取材日が決まった。
ゴルフでこんがりと焼け、ソファにドシッと座る。話を聞くと、半世紀も前のことを含め、現役時代の記憶は全て鮮明だった。
「一番記憶に残っている試合は」――。
愚問ながら、お決まりの質問をさせてもらうと、1964年東京オリンピックの初戦のアルゼンチン戦を挙げた。
日本代表が3―2で勝利し、28年ぶりに五輪で白星を飾った試合だが、記憶に残るのは歓喜の瞬間に立ち会ったからではなかった。
「得点を取らないといけないのに、取れなかった。それ以上に面白くないことはない」
なぜ…
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