/5 畑から眺めた大炎上 おののきと表裏一体の燥ぎ

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 1937年11月生まれの古井由吉は、自筆年譜に自らのルーツをこう書いている。「父母ともに岐阜県出身。本籍地は岐阜県不破郡垂井町。祖父由之(よしゆき)は、明治末、地元の大垣共立銀行の経営立て直しにもかかわった岐阜県選出の代議士であった」

 由之は幕末の1865年生まれ。農業の傍ら絹織物の羽二重製造を手掛けた実業家で、垂井町長や岐阜県議を経て02年に衆議院議員となった政治家でもあった。由之の次男英吉が作家の父親である。

 『新修垂井町史 通史編』(96年)には、丸顔で口の周りから顎(あご)にかけてヒゲを生やした由之の写真が載っている。孫の由吉の風貌とはだいぶ印象が違う。一方、『大垣共立銀行百年史』(97年)は、株式市場の暴落などを背景に同行が09年、安田財閥の傘下に入った際、「古井由之取締役(政友会所属の岐阜県選出衆議院議員)」が重要な役割を果たしたことを記している。

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