高校野球・夏の甲子園2回戦(12日)
○山梨学院6―2聖光学院(福島)●
五回まで無得点に終わっていた山梨学院の打者たちに、試合後半からある変化が見られた。
聖光学院のエース大嶋哲平の好投に「このままでは(相手が)バテなければ点は入らない」と、苦戦している打者はバスター打法を使うよう吉田洸二監督らが指示を出した。すると六回、均衡が破れた。
1死一、二塁で打席が回ってきた8番の田村颯丈郎(そうじろう)が、バットを寝かせる構えから高めの直球を左前への適時打とし、1点を先取した。
直後に追いつかれて1―1とされたが、七回に1死二塁からまたもバスターで4番の横山悠がつないだ。1人挟んで勝ち越し打を放った6番の万場翔太はバスターではなかったものの、「甘い球を逃さないように」と初球を左前へ運んだ。
続く八回には一挙4点を加え、終わってみれば6―2での快勝。バスター打法を足がかりに突破口を開き、横山は「バスターは試合の中で(打撃を)修正できる一つの大きな手だった」と胸を張った。
バスターを多用する作戦は「ぶっつけ本番」ではなく、山梨大会からの取り組みだった。山梨のライバル校である日本航空や東海大甲府の好投手に対抗するための手立てとして練習を始めたという。
この日も軟投派の大嶋の前に、序盤は力んでのゴロやフライが目立ったが、引きつけて打つ意識をバスター打法で持たせることで打線に火が付いた。
「ぱっと作戦的に(バスターを)やれといってもできない。うちはこれを半分以上打撃練習に入れている」と吉田監督。用意周到に磨いてきた小技で、したたかに3回戦へと駒を進めた。【吉川雄飛】
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