生活保護費巡り、厚労省が専門委初会合 秋にも方針 訴訟判決受け

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専門委員会の冒頭であいさつする厚生労働省の鹿沼均社会・援護局長(中央左)=東京都千代田区で2025年8月13日午後6時3分、肥沼直寛撮影 拡大
専門委員会の冒頭であいさつする厚生労働省の鹿沼均社会・援護局長(中央左)=東京都千代田区で2025年8月13日午後6時3分、肥沼直寛撮影

 厚生労働省が2013~15年に実施した最大10%の生活保護費の減額処分を違法として取り消した最高裁判決を受け、厚労省は13日、今後の対応方針を議論する専門委員会の初会合を開いた。幹部によると今秋にも方針のとりまとめを目指す。訴訟の原告側は専門委設置の方針撤回を求めており、反発を強めている。

 最高裁は6月、厚労省が生活保護費引き下げの根拠とした物価下落率を反映させる「デフレ調整」について、生活保護基準を検討する専門家部会にも諮られていないことを問題視。「合理性を基礎づける専門的知見が認められない」などとして違法と判断し、処分を取り消した。

厚生労働省前で生活保護を巡る訴訟の最高裁判決を受けた専門委員会の設置に抗議する原告や支援者ら=東京都千代田区で2025年8月13日午後5時3分、肥沼直寛撮影 拡大
厚生労働省前で生活保護を巡る訴訟の最高裁判決を受けた専門委員会の設置に抗議する原告や支援者ら=東京都千代田区で2025年8月13日午後5時3分、肥沼直寛撮影

 この日の会合で厚労省は、13年の引き下げや判決の内容について説明。今後の議論の論点として、最高裁判決の受け止め方や法的効果、それを踏まえた対応のあり方や、専門的知見から検討すべき課題の整理などを示した。次回の会合では原告側の意見を聞く予定。

 一方、国に速やかな謝罪と減額分の追加支給を求める原告側は、12日に抗議声明を出し、専門委の開会前には厚労省前で抗議の声を上げた。

 原告らを支援する「いのちのとりで裁判全国アクション」の稲葉剛共同代表は「謝罪して被害回復への方針を明らかにする前に専門家に意見を聞くということは、問題の先延ばしでしかなく、被害を少なく見積もろうとしていると言わざるを得ない」と厚労省の姿勢を批判した。【肥沼直寛】

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