女優の當真あみが連続ドラマで初主演を務めている話題の「ちはやふる−めぐり−」(日本テレビ系、水曜午後10時)。原菜乃華は、主人公藍沢めぐる(當真)の幼なじみで、今後、彼女のライバル的存在となる月浦凪役を好演している。原といえば、現在放送中のNHK連続テレビ小説「あんぱん」(総合など)でヒロインの妹、朝田メイコ役を好演しており、朝ドラファンにもおなじみの若手女優。これまでも数々のドラマや映画に出演するなど、引っ張りだこの原が「ちはやふる」の収録秘話や、転機となった作品などについて語った。
「ちはやふる−めぐり−」とは?
競技かるたを通して、ヒロイン綾瀬千早と仲間たちの友情や成長を描いた、末次由紀さんによる漫画「ちはやふる」を、広瀬主演で実写化した映画の10年後を描くオリジナルストーリー。廃部の危機にある梅園かるた部に所属するめぐるが、顧問の大江奏(上白石萌音)と出会って成長し、高校最強の瑞沢高校に挑む姿などを描く。
出演はプレッシャーよりも喜び
――本作の出演が決定した感想は?
「シンプルに、一ファンとしてびっくりしましたね。また『ちはやふる』をやるんだ、と驚きました。実は私、『結び』のオーディションを受けていたので、数年越しに大好きな『ちはやふる』に携わることができるなんて本当に感慨深いです。10代のころに映画館で見ていた作品で、私の中で『ちはやふる』は青春映画の金字塔という印象なので、憧れの世界に入れるというワクワクは強かったです。プレッシャーも感じましたが、喜びの方が大きかったです」
――清少納言の本名とされている清原諾子(なぎこ)が、月浦凪の名前の由来になっているようですが、かるたとの縁を感じるキャラクターですね
「凪は、広瀬すずさんが演じた綾瀬千早に憧れてかるたを始めたという役柄なので、お芝居の中にできるだけ千早っぽさみたいなものを入れられるように、改めて映画シリーズを見ました。彼女に憧れているので、かるたのダイナミックな取り方を、練習の時点から目力だけではなくて役柄も合わせていろいろ考えながら作っていったので、そこは難しくもあり楽しかったです」
――そんな思い入れのある作品の10年後を描いた本作ですが、さらに10年後、また「ちはやふる」に携わるとしたら?
「10年ということは…。私は32歳になっているんですよね。うわー、想像がつかないというか怖いです。32歳って立派な大人ですもんね(笑)。でも、凪は相変わらず悩んでいるような気がします。多分、年齢ごとにきっと悩みってあると思いますし、“原菜乃華”自身としてももちろんそうだろうなと。きっと、達観した大人というよりは、日々もがきながら必死に前に進んでるような、そういう大人になれたらいいなと思いますし、凪もそういうキャラクターでいられたらいいなと思います」
――その時、凪はどんな職業に就いていると思いますか
「凪は、大江先生みたいな教師になっている感じではないと思います。すごく自由だし、千早とすごく似ているキャラクターなので、どこかに旅行へ行っているんじゃないですかね。世界中を旅して、千早と一緒に世界中にかるたの良さを伝えることに楽しみを感じているんじゃないかなと、なんとなく思います」
広瀬すずとの共演に「不思議な感覚」
――今回、瑞沢高校OBメンバーが出演すると聞いていかがでしたか?
「すごくうれしかったです。憧れの方たちですし、私自身としても、あの『ちはやふる』で千早ちゃんを演じていらっしゃった広瀬すずさんにすごく憧れがあったので、実際にお会いしたら、憧れの方が目の前にいるという事実が、なんだか不思議な感覚でしたね。自分が本当に『ちはやふる』の物語の中に入れたんだなという感動もありましたし、OBの皆さんがとても仲が良くて、同窓会みたいな雰囲気で常にお話しをして盛り上がっていらっしゃったので、こんな風にお芝居を続けて、10年後にまた先輩たちのように巡り会えたらすてきだろうなということを思いながら撮影していました。いろいろと教えてもらいましたし、空気感を作ってくださってありがたいなと思いました」
――同じ年代の方たちとの撮影現場はどんな様子でしたか?
「学校の休み時間みたいでした。休憩時間中も広い部屋があるのに、狭いところにみんなで集まって円になってご飯を食べたり。ひたすら誰かの笑い声が聞こえてくるような、本当に和やかで“ザ・青春”みたいな現場でした。学校をすごく思い出しました。私自身、あまり青春を謳歌できなかったなという後悔もあるので、部活とか学園祭ってあんな感じだったのかなと、作品を通して青春を取り戻せているような気がしてすごくうれしかったです」
――ムードメーカーみたいな人はいたんですか?
「瑞沢高校の中だと藤原(大祐)さんで、梅園高校ですと山時(聡真)さんかな。常に明るくみんなを笑わせてくださっていましたね。急にゲームを発明して、“エアババ抜き”とかやっていました。カードがないのにみんなでババ抜きをやるという(笑)。しかも、結構な人数でやるんですけど、これって俳優さんだからこそできる遊びだと思うんですが、エアなのに今どこにババがあるのかも分かるんですよ。そういう不思議な遊びを考案するのは藤原さんでした。藤原さんは私と同い年で、年齢的にほかのキャストより少し上だったんです。
今まで参加させていただいた作品は、私が最年少だったことが多いのですが、今回の座組だと年長組に入ってきて、それも不思議でした。『この間、高校に合格しました』と報告してくれる子がいて、自分がちょっとずつ引っ張っていく立場になっているんだなというのを痛感しましたね」
――所作などで苦労したことはありますか?
「上白石さんから、前シリーズで袴で大会に挑んだシーンが結構大変だったとお聞きしていましたが、実際、撮影に入ったら本当に大変で…。特に瑞沢高校は強豪高校という雰囲気を出すために大会で袴を着ているので、かるたが取りにくかったです。動ける腕の可動範囲も洋服の時とは違いますし、締め付けられている上に前傾姿勢になるので、体力が必要な撮影でした。かるたは“畳の上の格闘技”と言われているくらい体力を使うので、それにプラスして着物の所作にも気を使わなきゃいけなくて、なかなかハードでした」
――現在放送中の「あんぱん」も着物ですね
「そうなんです。『あんぱん』は着物で、『ちはやふる』は袴なので、少し違う感じですが、『あんぱん』の撮影に入っている最中で良かったなと思いました。両方とも衣装が着物だったので、どちらかが休みの日は別の着物を着るみたいな生活で、着物に慣れていたので良かったなと思います」
かつては自分の声にコンプレックス
――転機になった作品を教えてください
「映画『すずめの戸締まり』で初めて声の仕事に挑戦させていただいたんですけど、それで知っていただける機会が増えたかなと思います。今まで、自分の声がすごく嫌いでコンプレックスだったんですけど、『声がいい』と言ってくださる方がすごくたくさんいらっしゃって、私の中で一つコンプレックスが消えて、仕事に、より前向きになれるきっかけになった作品でもあるので、自分の中では大事な作品です」
――今後やってみたい役柄や目標にしている作品はありますか?
「今まで制服を着てお芝居をすることがすごく多かったので、今年22歳になるのですが、これからはお仕事ドラマだったり専門用語を使うような難しい役柄にもチャレンジしていきたいなと思います。今までは、自分が経験したことがある学生がベースの役だったので演じやすかったのですが、自分よりも年齢の高い役はあまり慣れないですし、どういう風に作っていったらいいのか迷ってしまうところがあるので、これからは年齢関係なくいろいろな役柄にチャレンジできたらいいなと思っています」
――憧れている俳優さんは?
「皆さんすてきですけど、やっぱり事務所の社長の小栗旬さんに憧れますね。私のような年下にもすごく気を遣ってくださいますし、常に声をかけてくださるので、本当に小栗さんは周りの方にすごく慕われていて、みんな大好きなんです。なので、私も小栗さんのように、現場にいるだけでチームの士気が上がるとか、この人がいれば大丈夫と思ってもらえるようになりたいなと思いますね。小栗さんは、そういうことを目指していきたいなと思わせてくれる存在です」
原菜乃華 プロフィル
2003年8月26日生まれ、東京都出身。09年にデビュー。21年「真犯人フラグ」で、西島秀俊が演じる相良凌介の娘役で注目を浴びる。ドラマ「ナンバMG5」(22年)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23年)、映画「ミステリと言う勿れ」(23年)、25年は、主演を務めた「見える子ちゃん」のほか、「ババンババンバンバンパイア」など、多数の話題作に出演。現在放送中の、NHK連続テレビ小説「あんぱん」ではヒロインの妹、朝田メイコ役を好演している。新海誠氏の手がけたアニメーション映画「すずめの戸締まり」では、主人公、岩戸鈴芽の声を担当。主人公の安曇野りせの声を担当したアニメーション映画「不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-」が8月29日公開。
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