気候変動でも石綿リスク増? 国家戦略で根絶目指す諸外国に学ぶこと

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建物の天井に吹き付けられ、劣化したアスベスト=中皮腫・じん肺・アスベストセンター提供
建物の天井に吹き付けられ、劣化したアスベスト=中皮腫・じん肺・アスベストセンター提供

 発がん物質のアスベスト(石綿)による被害は国内にとどまらない。隣国の韓国や、1人当たりの石綿消費量が世界トップクラスだったオーストラリアでは、約5年ごとに国家計画を更新するなど国を挙げて石綿被害の根絶を目指している。一方、日本では被害拡大を防ぐための体制が不十分で、専門家は「いつまでたっても石綿のリスクは消えない」と懸念している。

 大手機械メーカー・クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民らの健康被害が明らかになった「石綿ショック」から20年。さまざまな救済制度が整備されたが、今も被害は拡大している。被害者や支援者への取材、海外の対策などから解決のあり方を提示する。
上:救済制度の隙間
中:「名ばかり調査者」の横行
下:海外に学ぶ根絶への道筋

韓国は政権交代でも5カ年計画継続

 韓国は、2005年に「アスベスト公害」が表面化した日本を他山の石とし、石綿安全管理法を制定。12年からは建物などに残る石綿を安全になくしていくため、関係省庁合同で「アスベスト管理」の5カ年計画を策定した。保革の激しい政権交代があっても継続されている。

 第3次計画(23~27年)の策定時には、第2次計画で掲げた推進課題ごとに進行状況を評価した。例えば、「石綿調査対象拡大」について、「塾や保育園を重点的に調査した」と成果を示しつつ、調査の対象外もあるなどと限界にも言及した。

豪州は根絶庁創設、地域のリーダーへ

 一方、豪州は13年、「アスベスト安全根絶庁」(現アスベスト・シリカ安全根絶庁)を創設。今は第3段階戦略計画(24~30年)を実施中だ。

 最新の報告には日本でも参考になる指摘があった。「建物に残る石綿製品は…

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