できることは、やるべきことは、自分の物語を語ること。色んな思いが互い違いに引っ張りあってつりあった、まっしろな無重力な空間を、その思いを抱えた自分が走っていく。
「いえ、それは研究の一環ではなかったかもしれません」私の物語を私は語る。「彼人(かのひと)が私を巻き込んだんです。私は抗(あらが)うことはできたはずだけど、もしかしたら、そう思っていたのは私だけで、本当は抗うことなんてできなかったのかもしれません」
プラネット・ナインを目指すと言った彼人。今はディスプレイの中でドット絵で表現されている彼人。あの時、私は何らかの強制力を感じていた。抗えなさを確かに覚えていた。そして、抗わず突き進んでいる内にここに至った。
Comments