インドのシビ・ジョージ駐日大使が、15日に79回目を迎えた独立記念日に合わせ、毎日新聞に寄稿した。
インド政府は「ヒマラヤと富士山をつなぐ」をテーマに日本との観光連携などを深めており、ジョージ氏は自治体レベルでの交流強化にも期待を寄せる。
シビ・ジョージ駐日大使
「この1年で地域交流拡大」
15日はインドの79回目の独立記念日に当たる。皆様に謹んでごあいさつ申し上げたい。
インドと日本は数千年にわたる歴史を持つ文明国家だ。インド人仏僧ボディダルマは日本では「達磨(だるま)大師」と呼ばれ、精神的・哲学的な橋として両国をつないでいる。インド発祥のヨガも日本で裾野を広げている。今年、東京都内で開催した「国際ヨガの日」のイベントには、日本から首相夫人、外相夫人をはじめ2500人以上が参加した。
近年、印日関係はより強化されている。モディ首相と石破茂首相は、昨年以来、2回の首脳会談を開催した。額賀福志郎衆議院議長が5月に訪印したほか、ジャイシャンカル外相と岩屋毅外相は今年、2回の会談を行った。両国は次の年次首脳会談に向け精力的に調整を行っている。2国間の枠にとどまらず、(日米豪印による)クアッドやG20(主要20カ国・地域)、G4(日独印ブラジル)など、両国の利益や価値観が合致する多国間・多国籍枠組みでも協働している。
両国間の経済活動も活発だ。約1500社の日系企業がインドに進出し、インドも製造ハブ、輸出ハブとして急速に台頭している。この関係の勢いを強化し、科学技術の進化を互いの成長につなげるため、両国は2025年度を印日科学技術イノベーション交流年に定めている。
防衛分野でも、ダルマ・ガーディアンやJIMEXといった軍事演習や戦略的対話の開催を通じ、引き続き関係を強化している。昨年8月には外務・防衛閣僚協議を、今年5月には防衛相会合をニューデリーで開催した。
インドは大阪・関西万博でも強い存在感を放っている。インドパビリオン・バーラト館では科学分野における進歩や宇宙技術、デジタルイノベーション、ウエルネス、文化に関する展示を行っている。他にもさまざまな文化・ビジネスイベント、一村一品(ODOP)製品特別展などを開催し、多くの来場者を魅了している。
この1年で地域交流も拡大し、都道府県知事とインドの州政府首相による相互訪問が活発化している。富山県とアンドラプラデシュ州、山梨県とウッタルプラデシュ州、静岡県とグジャラート州など、県・州レベルの交流も活発になり、インドの州と日本の都道府県をつなぐという私たちの取り組みが結実しつつある。
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