北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キムヨジョン)党副部長は14日、南北の緊張緩和を目的とした政策に北朝鮮が呼応しているとの韓国側の見方について、「根拠のない一方的な臆測だ」と否定する談話を発表した。
韓国の李在明(イジェミョン)政権は南北関係改善に意欲を示し、6月に軍事境界線付近で北朝鮮に向けて行っていた宣伝放送を停止。韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮も韓国に向けた拡声機を撤去する動きを見せたという。李氏は12日、「私たちが先に(放送を)中断したので、(北朝鮮も)中断した。南北間の対話と疎通が少しずつ開かれることを願う」と述べていた。
これに対し、金与正氏は談話で「我々は拡声機を撤去しておらず、撤去する考えもない」と韓国側の発表に反論。「米国の忠実な同盟国である韓国との関係を改善するつもりはない」と強調し、韓国を「最も敵対的な脅威勢力」として憲法に明記すると主張した。
15日に予定される米露首脳会談が米朝対話につながるとの観測についても、「夢を見ている」と一蹴。「米国と向き合うことはなく、朝米首脳間の個人的な親交が政策に反映されることもない」と否定した。
朝鮮日報は14日、北朝鮮軍が設置した拡声機約40台のうち、撤去されたのは1台のみだったと伝えた。【ソウル日下部元美】
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