日本国際博覧会協会(万博協会)の高科淳・副事務総長は14日午前に記者会見し「多くの方々が大変な思いをされ、心苦しく思っている」と陳謝した。万博協会は、地下鉄中央線の運転見合わせが長びくと判断し、今年4月の開幕以来初めて、夢洲(ゆめしま)駅に向かう帰宅客を会場内に戻す対応に踏み切ったと説明した。今後、情報提供などに問題がなかったか検証する。
万博協会は、中央線の終電時間に近づいたため、地震や台風などの災害に準じた対応に切り替え、パビリオンや休憩所を一時滞在施設として開放し、飲料水の提供もした。高科氏は「ある程度は想定した範囲で動けているが、アナウンスのタイミングが適切だったかどうかは検証が必要だと考えている」と述べた。
万博会場は大阪市此花区の人工島・夢洲にあり、交通手段は地下鉄が7割超を占め、残りもシャトルバスや水上交通などに限られている。万博協会幹部は取材に対して「一番太い輸送経路が断たれた影響は大きかった。コスモスクエア駅まで輸送できたのは助かったが、その先の交通手段がないと考えて、会場にとどまった人も多かった。乗せられるのは地下鉄の1編成約1000人に対して、バスは1台約50人にとどまる。輸送能力が違うため、シャトルバスに殺到すると危険で、積極的にバスへ誘導しなかった」と説明した。【藤河匠、岡崎英遠、長沼辰哉】
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