
作家の日比野コレコさん(21)の小説『たえまない光の足し算』(文芸春秋)が17日に刊行された。
18歳でデビューし、比喩表現が印象深い「コレコ節」で、若い読者らに支持される日比野さん。自身として初めて芥川賞候補になった新作は、どんな意識で書かれたのか。
「トー横」「グリ下」想起させるリアルさ
「機械のように人間的でない存在が『人間宣言』するまでを描いた小説」。日比野さんは本作を独特の言い回しで表現する。
「希望には上限がない」と信じる自身の思考が反映された作品、とも。生きづらさを抱えつつも暗中模索する主人公らの姿は、読者に一筋の光を差し入れる。
舞台は「爆発的な交通量」を持つ駅の真裏の閑静な公園。
「かいぶつ」の愛称を持つ時計台に巻きついたらせん型の展望台は、自殺願望者も集まる観光名所で、少年少女たちが来客を相手に特技を生かした個人商売を展開する。
彼らには占有の商売場所である「縄張り」が存在するなど、厳格なルールがある。
主人公の少女…
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