水難事故防止を訴える「ライジャケサンタ」として、各地の自治体にライフジャケットの寄贈などの地道な活動などを続けている男性がいる。高松市の森重裕二さん(49)は「悲惨な事故を防ぐために活動を続けていきたい」と力を込める。
森重さんが活動を始めるきっかけは滋賀県甲賀市で小学校の教諭を務めていた2007年夏、同市内の小学生2人が高知県の四万十川でおぼれて亡くなる水難事故が発生したことだった。勤務校の児童ではなかったが、悲惨な事故に大きな衝撃を受けた。
妻の実家の石材店を継ぐため、生活拠点を高松市に移した後も活動を続け、企業の協賛を受けたり、クラウドファンディングで購入資金を募り、県内外の自治体にライフジャケットを寄贈。さらにオリジナルの手作り教材「ウキウキくん」などを使いながら水難事故防止を訴える啓発活動も続けている。
そんな森重さんに共感し、後押ししてくれる人も増えてきた。高松市の斉藤修市議(59)ももその一人。市議会でライフジャケットについて取り上げ、その重要性を訴えた。「ここ4年ほどで急速(ライフジャケットの重要性が)知られるようになった」と話す。
森重さんは7月、高松市にライフジャケット30着を寄贈。同月、同市から森重さんに感謝状が贈られた。同市は今後、ライフジャケットの使い方を紹介するチラシの配布や、教職員への研修機会の確保、啓発活動の推進などを図っていくこととしている。
地元香川では活動の広がりに手応えを感じているという森重さん。しかし、全国的にはまだまだ不十分だと感じており、寄贈を打診しても「置き場が無い」などと断る自治体も多いという。重森さんは「事故が起こってしまうと『ライフジャケットを準備しておけばよかった』となる。そうなる前の、備える大切さを伝えていきたい」と意気込んでいる。【広田正人】
Comments