撮影禁止に衣装変更、でもおしゃれに…悩めるチア盗撮対策 甲子園

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華やかなパフォーマンスでアルプススタンドを盛り上げる、横浜のチアダンス部の堀田来夏部長(左)ら=阪神甲子園球場で2025年8月14日、洪玟香撮影
華やかなパフォーマンスでアルプススタンドを盛り上げる、横浜のチアダンス部の堀田来夏部長(左)ら=阪神甲子園球場で2025年8月14日、洪玟香撮影

 アルプススタンドで応援するチアリーダーの盗撮問題に、各校は知恵を絞って対策を講じている。阪神甲子園球場で開催中の全国高校野球選手権大会では、生徒を守るだけでなく、伝統やおしゃれとの両立を目指す上での苦悩もにじむ。

 大会第9日の14日、2回戦で綾羽(滋賀)と対戦した横浜(神奈川)の一塁側スタンドでは、チアリーダーの近くで教員らが「応援団の撮影禁止」と書いた注意書きを周囲に示した。

横浜の応援スタンドでは教員たちが「撮影禁止」の注意書きを手に盗撮防止を目指した=阪神甲子園球場で2025年8月14日、高橋広之撮影
横浜の応援スタンドでは教員たちが「撮影禁止」の注意書きを手に盗撮防止を目指した=阪神甲子園球場で2025年8月14日、高橋広之撮影

 8日の1回戦では、近くの内野席からカメラを向ける観客に両手で「バツ」のポーズを取るなど、身ぶり手ぶりで注意喚起していたが、2回戦を前に注意書きを作成したという。

 ある教員は「日によっては7、8人に声をかけるが、今日はほとんど注意する場面がない。(注意書きの)抑止力を実感する」と話した。

 横浜は、男子校から共学化した2020年にチアダンス部が誕生した。創部時から顧問を務める小林礼奈教諭は夏の甲子園に出場した21、22年当時を「共学化した後で甲子園に出て話題性もあったので(カメラを向けられることが)多かった」と振り返る。

 応援の配置では、チアダンス部は通路の階段に立ち、その周囲を吹奏楽部や応援の野球部員らで挟むようにすることで、直接カメラにさらされにくい工夫をしている。

 小林教諭が考案したチアダンス部のユニホームは、「反対側(のスタンド)から見ても分かるように」と蛍光色の黄色を基調に、野球部のトレードマークの青、白、赤のトリコロールをあしらったものだ。

 他校ではTシャツを着たり、短パンやスパッツをはいたりして盗撮対策をしている例もあるが、小林教諭は「こだわってきたユニホームなので、私も部員たちもユニホームを崩さずに応援が映えるように、華やかなままに対策もしていきたい」と話す。

 ユニホームはスカートタイプで、移動中などにリュックサックでスカートの裾がめくれないようにしているほか、座る際に足を開かないなどの気配りをしている。

 チアダンス部の堀田来夏(こなつ)部長(3年)は「可愛い感じで、だらだら踊るのではなく、元気に格好いい振りをキレキレに踊ることで、ダンスを見るようになってほしい」と話す。

白の長袖アンダーシャツを着用した日大三のチアリーダーら=阪神甲子園球場で2025年8月11日、藤倉聡子撮影
白の長袖アンダーシャツを着用した日大三のチアリーダーら=阪神甲子園球場で2025年8月11日、藤倉聡子撮影

 日大三(西東京)は伝統的なスカートのスタイルを貫く一方で、今大会から白の長袖のアンダーシャツを着ることにした。ダンス部顧問の秦萌子教諭は「部員たちの希望と、伝統校としてのチア服の重みを大切にしている」と話す。

 35年ぶりに出場した青藍泰斗(栃木)のチアリーダーはこれまで、袖なしでスカートのユニホームだったが、野球部が昨秋から鮮やかな青色に白のストライプの新ユニホームになったため、今大会に合わせて同じ配色のデザインにした。その際、半袖で半ズボンのスタイルを採用した。

 応援団責任者の秋山俊樹教諭は「やはり盗撮の心配があったのと、せっかくだから野球部との統一感を持たせたいと思った」と説明する。

 チアダンスサークル部長の宮田美渚さん(3年)は「最初はデザインが変わることに悲しさがあったが、実際にみんなで着てみたら、意外と可愛くて、格好よさもありました」と気に入った様子だ。

スカートの下にスパッツを着用して応援する聖隷クリストファーのチアリーダーたち=阪神甲子園球場で2025年8月9日、長岡健太郎撮影
スカートの下にスパッツを着用して応援する聖隷クリストファーのチアリーダーたち=阪神甲子園球場で2025年8月9日、長岡健太郎撮影

 明豊(大分)のチア部は数年前に盗撮被害に遭い、それまでのスカートの衣装から21年春のセンバツ大会以降はスキニーパンツにした。その後は、夏は青色のスカートの下にレギンスをはくスタイルに変更。半ズボンスタイルにしたこともあったが、今夏は再びスカートにレギンスというスタイルにした。

 チア部顧問・笠松紗佐(ささ)教諭は「どうしてもあの青色のスカートをはきたいという生徒たちの意思も尊重した。なんとか盗撮対策とおしゃれを両立させようとしている」と話す。

 関東一や市船橋、日大三など伝統的なスカートのスタイルを貫く学校も多いが、盗撮対策として多くの学校が長袖のアンダーシャツを着用しているほか、座る際に膝と肩に大きめのタオルをかけたり、ウインドブレーカーを巻いたりするなどの対策をしている。学校側の試行錯誤は今夏も続いている。【高橋広之、円谷美晶】

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