◯横浜FC1―0ヴィッセル神戸●(16日・ノエビアスタジアム神戸)
「崖っぷち」どころか、その上でつま先立ちをしているような気分ではなかったか。7連敗中の19位・横浜FCは終盤、神戸の猛攻に遭った。背中にビュービューと強風を受けながら、懸命に耐え続けた。
昨季王者の攻撃力はもちろん、織り込み済み。横浜FCは5バックを中心に、前線も含めて走り回り、流れを分断した。
後半途中、相手は大迫勇也、武藤嘉紀のアタッカーを投入してきた。ゴールに迫られるピンチの連続にも、体を投げ出して、何とか阻止。そんな中で「希望の糸」が垂れてきたのは、後半49分ごろだった。
神戸の攻撃が中途で終わったのを見逃さなかった。中盤から大きく蹴り出し、桜川ソロモンが抜け出した。前掛かりだった神戸の陣形は大きく崩れている。ゴール前、桜川がラストパスを送り、詰めていたのは途中出場の伊藤翔。泥臭く滑り込みながら合わせ、決勝ゴールを挙げた。「(桜川を)信じて走った」。37歳の今季初得点が劇的な結果となり、仲間と抱き合って祝福した。
降格圏に沈む中で、クラブは7月23日に四方田修平監督を解任し、三浦文丈コーチを昇格させた。神戸戦を前に、三浦監督は「トレーニングで選手がピリッとした雰囲気を作ってくれた」と変化を感じていた。伊藤は「監督が率先してそういう空気を作ってくれていた。厳しさ、集中力は今まで以上のものを感じている」とうなずく。
大きな勝ち点3とはいえ、厳しい残留争いは続く。「まだ何も勝ち得ていない」と伊藤。「希望」をつかめるかは自分たち次第だ。【生野貴紀】
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