北海道富良野市在住の脚本家、倉本聰さん主宰の演劇塾「富良野塾」(1984~2010年)のOB、OGらで結成した「富良野GROUP」が、「北の国から」を題材に10月31日~11月7日に開く脚本家のためのワークショップの参加者を今月24日まで募集している。
「北の国から」は倉本さんの代表作で、81~02年に放送された。富良野を舞台に故・田中邦衛さん演じる黒板五郎一家が自然の中で暮らす様子や子供たちの成長などを長期にわたって描き続けた人気テレビドラマで、倉本さん自身は「続編を書きたい気持ちはある」と語り、ファンの望む声も根強いが、実現していない。
今回は、ドラマが本来伝えるべき感動が失われ、人間が描ききれていない作品が増えていると危機感を抱く倉本さんが温めてきた、作品の柱ともいうべき脚本づくりに焦点を当てた企画。富良野塾で培った手法を再現し、塾の跡地で寝泊まりし農作業や森づくりも体験しながら、「人間を描くとは何か」を問い直し、創作活動に向き合う覚悟と書く力を養うことを目指す。
題材について、倉本さんは「(北の国からの)シーンの裏側にあったいろいろなエピソードという落穂を拾ってきた舞台劇」と説明する。例えば、ラーメン屋で話が長くなった黒板一家を帰らせようとしてラーメンを下げた女性店員に、五郎が「子供がまだ食ってる途中でしょうが」と怒るシーンで、実は店員側にもさまざまな家庭の事情があったというような話などを集めるという。
倉本さんの作品などを管理する「フラノ・クリエイティブ・シンジケート(FCS)」は「倉本さんが塾生やOB、OG以外に脚本家向け講義を開いたことはなく千載一遇の機会」とPRする。参加費7万円。年齢・経験は問わない。応募はホームページ(https://kuramotoso.jp/)のフォームから。応募動機と「北の国から」の好きなシーン、それを五感で感じさせる語句で表現した五・七・五の文章で20人程度を選考する。問い合わせはFCS(0167・23・4245)。【横田信行】
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