広島県尾道市立小学校で2023年、当時4年の女子児童が残した給食を同級生らに無理やり食べさせられそうになって不登校になる事案があり、同市教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、18日に調査報告書を公表した。
市教委によると、被害児童は23年4月の給食の時間、同級生の女児3人に無理に手で口を開けさせられ、豆腐汁を食べさせられそうになった。児童が嫌がったため3人は行為を止めた。当時、担任は教室にいなかった。
その後、児童は給食がとれなくなり、2学期から不登校となって「適応障害」と診断され、翌年1月に転校したという。
被害児童の保護者から連絡を受けた同校と市教委は23年9月にいじめ重大事態と認定。同年12月から市のいじめ防止対策委員会が関係者から聴取し、今年5月に調査報告書をまとめた。
同校では、食べるのが遅い児童や給食が苦手な児童に、担任教諭や支援員がスプーンで食器に残ったものを口元に運び、児童同士で声かけして食べさせあうなど、残食を減らすよう取り組んでいた。児童同士の行為を担任らが注意することはなく、加害児童らは良いことと捉えていたという。
報告書は、学校の組織的な対応の遅れや給食指導の問題点などを指摘。18日の記者会見で宮本佳宏教育長は「残さずに給食を食べることは否定されることではないが、個人差に配慮した指導が十分でなかったと重く受け止める」と話し、市教委はいじめ対応に関する研修を全教職員を対象に行って再発防止に努める。【高田房二郎】
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