全国の電気料金で支援「東電など4原発」なぜ落札したのか

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電気料金が高くなる?政府の原発支援策(4)

 原発はじめ「脱炭素」大型電源の建設費などを電気料金で支援する「長期脱炭素電源オークション」は2024年1月にスタートし、これまで2回の入札が行われた。その結果、東京電力ホールディングス、中国電力、北海道電力、日本原子力発電が稼働を目指す四つの原発が電気料金で支援を受けることになった。一体どんな理由で、どんな支援をするのか。

 電力会社が加盟し、全国の電力需給を調整する国の認可法人「電力広域的運営推進機関」は24年4月、第1回オークション(23年度分、24年1月入札)の結果を発表した。原発で落札したのは中国電力の島根原発3号機(島根県)だった。

 島根原発3号機は05年12月に着工し、当初は11年5月の営業運転を目指していた。工事はほぼ完成に近づいていたが、同年3月の東電の原発事故で中断。現在は新規制基準を踏まえた安全対策工事を行っている。

 第1回オークションは原発など脱炭素電源の新設かリプレース(建て替え)が対象だった。建設中の島根原発3号機はまだ完成していないため、今回の入札では「新設」扱いということで落札した。原発の落札はもちろん初めてだが、原発で応札したのは中国電力1社だけだった。

 23年度に落札した脱炭素電源としては、この島根原発3号機(落札容量131.6万キロワット)が最も大きく、全体(401万キロワット)の32%を占めた。原発に次ぐのは蓄電池(109万キロワット)で、再生可能エネルギーはバイオマス発電の19万キロワットだけだった。

 脱炭素電源の約定総額(落札した電力会社に全国の電気料金から支払う金額で「容量確保契約金」と呼ぶ)は年間2336億円だ。このうちの32%に当たる約750億円が島根原発3号機の支援額となる計算だが、広域機関は「電源ごとに契約金の単価が異なるため、その計算は正確でない。電源ごとの単価や約定金額は公表していない」という。

新設に加え再稼働目指す原発も支援

 第2回オークション(24年度)は25年1月に入札を行い、4月に結果を公表した。原発で落札したのは東電の柏崎刈羽原発6号機(新潟県)、北海道電力の泊原発3号機(北海道)、日本原電の東海第2原発(茨城県)の3原発3基だ。いずれも各社が再稼働を目指している。

 第2回からは大型電源の新設・リプレースに加え、「既設原発の安全対策投資」も対象になった。24年度は脱炭素電源が503万キロワット落札し、このうち原発は…

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