新潟県柏崎市平井のJAえちご中越の柏崎ライスターミナルで19日、2025年産のコメの極早生(ごくわせ)品種「葉月みのり」の初検査が始まり、すべて2等米と判定された。本格デビューから7年目となるが、これまでの初検査では1等米と判定されてきただけに、集まった関係者は無念さをにじませた。
検査は、もみ殻を除去した玄米の水分量や形質、未熟なものの混入などを調べ、整ったコメがどれくらい含まれているかによって1~3等、規格外で格付けされる。コメの等級が下がると価格も下がるため、農家には痛手となる。
この日は、生産者3人と共同乾燥施設1カ所の計21トンを検査。JAの農産物検査員が、山積みされた米袋から任意に抜き取ったコメを、水分量の測定器にかけ、病虫害や白濁の有無などを目視で確認。ピンセットで粒の形が整ったコメを慎重に選別した。
JAえちご中越によると、6月下旬から8月初旬にかけ、まとまった雨がほとんどなく、7月中旬の出穂後の登熟期に平均気温が27度を上回った。そうした影響もあり、検査では高温障害によって白濁したコメが多く見られ、全量が2等米と判定された。昨年の初検査では全量が1等米と判定され、その後の検査も含めたトータルの1等米比率は94・7%だっただけに、関係者は全袋に2等米のハンコが押されていく様子をぼうぜんと見つめていた。
ただ、粒の「張り」や「揃(そろ)い」ともに「平年よりやや劣る」が、おいしさを示す食味値は標準を上回る78点の「良食味米」と判定された。
25年産米は昨年より約130トン多い約650トンの収量を見込み、JAでは農業用ダムの水を例年より2週間早く放流するなど、高温対策を講じてきた。JAえちご中越経営管理委員の力間利昭・柏崎地区委員長は「近年は異常気象で梅雨もなく、雨のない中、生産者は頑張ってくれたが、暑すぎた。率直に残念だ」と述べた。
また、販売価格については「食味値は高く、味は(1等米と)変わりないので、米不足もあってかなり高騰するだろう」と話した。
新米は23日からJAえちご中越の直売所や県内スーパーで販売される。例年は5キロ2500~2600円程度で販売されていたが、今年は同4000円台に値上がりする見通し。【内藤陽】
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