群馬県伊勢崎市で国内最高気温を更新する41・8度が観測されるなど、今夏も暑い日が続く。気象庁などが「危険な暑さ」に注意を呼びかけるなか、昨年夏以降、店頭で品不足となったコメの生育や収穫に問題はないのか。
惨状
「農産物検査で1等米が0%になるなんて……。もう衝撃ですよ」
関東平野のほぼ中央にあるJA常総ひかり(茨城県)の栗原達也米穀課長が、所管する地域で1年前に収穫された2024年産コシヒカリの惨状を明らかにした。
農産物検査で決まるコメの等級は、見た目で粒の整った割合や色の具合などに応じ、1~3等や規格外に分けられる。等級が変わっても食味は大きく変わらないとされるが、1等米は取引価格が最も高く、その割合は農家の収入に直結する。
管内のコシヒカリの1等米比率は、22年産は14・7%、23年産は2・1%、24年産はゼロになった。ここ数年の夏の異常高温で1等米が大きく減った。
茨城県によると、県内の24年産米(玄米)の収穫量は約34万トン。作付面積ベースで品種割合を見ると、コシヒカリが約7割を占める。関東の県別のコメの生産量をみると、茨城県が最も多い。同県産のコシヒカリは巨大市場・関東のコメ消費を支える主力品種となっている。
JA常総ひかりは、県南西部の常総市、下妻市、八千代町の3市町にまたがる。農業に適した降水量と温暖な気候の地域で「平野部で県内でも有数のコメどころ」(茨城県の担当者)という立地の良さが自慢だ。
ただ今年7月中旬、24年産が収められた同JAの低温倉庫を訪ねると、検査員が押した2等、3等を示すスタンプのコメ袋しかなかった。
暑さは白米の品質だけでなく、食べられる量にも影響を与えています。何か打つ手はあるのでしょうか。この後、紹介します。
コメ業界では一般に、玄米を精米して得られる白米の割合である「精米時の歩留まり…
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