みずの、細い鍵穴をうらうらとくぐり
みどり色の水蛇姉妹が
夜ごと
古モノ語りを纏って
くるという、
『現代詩手帖』8月号では特集「<戦後>80年への問い」が組まれている。日本社会で一般的に使われてきた「戦後」という言葉は、重要な意味を保ちつつも世界情勢に照らせば虚(むな)しい響きを増している。各地で戦争、紛争、武力衝突が生じているからだ。
特集の冒頭に置かれた瀬尾育生と宇野邦一の対談は読み応えがある。突き付けられる現状に暗澹(あんたん)とした心持ちにもなるが、必読の内容だ。アーレント(本文ではアレントと表記)、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、ハイデガーなどを参照しながら、手探りの議論が進められる。
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