万引き事件の男性容疑者を自転車で追いかけ、身柄の確保に貢献したとして、警視庁麻布署は20日、東京都港区の介護士、綾部美晴さん(55)に感謝状を贈った。
麻布署によると、事件は8月2日午後7時半ごろ発生。港区内の食料品店で、高級ウイスキー3本(計2万3000円相当)が万引きされ、店から男性が走り去った。
そこに、仕事を終えて自転車で帰宅途中の綾部さんが通りかかった。「待ってください」という声を聞いて振り返ると、食料品店の店員が男性を走って追いかける姿が見えた。しかし、店員は息を切らしていて、逃走する男性との距離はどんどん開いていく。
周囲にはその様子を目撃している人はいたが、追いかける人はいなかった。
「犯人は逃げ切ってしまうかもしれない。店員が走るより、私の方が速い」
綾部さんは自転車をこぎ始めて追跡すると、男性は約200メートル離れたビルに逃げ込んだ。出入り口付近で見張りながら、被害に遭った食料品店に電話をかけた。その間、男性は疲れた様子でビルの中で座り込んでいたという。
間もなく駆け付けた店員が110番し、署員が住所不定、無職の40代男性を窃盗容疑で現行犯逮捕した。綾部さんは「たまたま通りかかり、手伝えることはないかととっさに追いかけた。逮捕につながってよかった」と喜びを語った。高橋季樹(としき)署長は「帰宅途中の綾部さんの機転の利いた判断と行動力が、早期検挙に結びついた。大変感謝している」と話した。【朝比奈由佳】
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