
裏方で長く支えている人ほどチームの変化がよく分かる。
九州で無類の強さを誇ってきた大津町・Honda熊本は昨年、都市対抗大会への連続出場が「8」で途切れて周囲に驚きを与えた。今年も初戦で敗れて「まさか」の雰囲気が漂ったが、5連勝で代表切符をつかむ底力を見せた。
チームに何が起きていたのか。異変に気付いて指摘したトレーナーがいた。
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「こんな声になるのは初めて」
最後の打者を内野ゴロに打ち取ると、片山雄貴投手(32)が拳を突き上げた。6月上旬にあった都市対抗九州2次予選の第2代表決定戦で、前回代表のKMGホールディングスに快勝して最後の切符をもぎとった。グラウンドには選手が駆け寄り、歓喜の輪が広がった。
大声で互いを鼓舞し続けた選手の声はガラガラにかれていた。
「こんな声になるのは初めて。でもそこが今まで自分たちに足りなかったところですから」。片山投手はうれしそうに笑った。
2019年11月、渡辺正健監督(55)が13年以来2度目の監督に就任し、肉体強化を徹底した。鍛え上げたパワーで強力打線を作り上げ、都市対抗九州2次予選では18年から6年連続で第1代表を獲得した。
21年の本大会では過去最高成績に並ぶ19年ぶりの決勝に進んだ。23年の日本選手権でも準優勝するなど、全国でも上位の力を発揮してきた。
当たり前のように勝ち続けた一方で、実はほころびが出ていた。違和感にいち早く気付いたのは、20年以上前からチームに携わってきた繁井孝之トレーナー…
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