2025年の夏、いかがお過ごしでしょうか。暑さ対策をしつつ、旅行や帰省を楽しんでいる人も多いのでは? 全国各地の「地域トリビア」を厳選して紹介します(随時掲載)。家族や旧友、旅先の人たちとの話題にチェックしてみてください。
23種類の草花描く
マルセイバターサンドなどの銘菓で知られる「六花亭」(帯広市)。北海道の野草をスケッチした色鮮やかな花柄の包装紙も、観光客に人気が高い。デザインしたのは山岳画家の坂本直行(1906~82年)だ。
坂本は北海道帝国大(現北海道大)在学中、山岳部に所属。卒業後は酪農と農業の傍ら、山の風景や植物を描き続けた。
一方、六花亭創業者の小田豊四郎は60年、児童詩誌「サイロ」を創刊する。毎月の表紙と挿絵を坂本に依頼したことから交流が始まり、包装紙のデザインもお願いしたという。花柄の包装紙は61年に誕生。23種類の草花が描かれている。
同社は「坂本氏のデザインは華やかでありながら素朴さを兼ね備えたもの。基本の材料を使っておいしさを追求してきた六花亭の菓子と通じるものがある」としている。
その坂本の先祖をたどると坂本龍馬に行き着く。祖父の直寛が龍馬のおいに当たる。
龍馬は暗殺される8カ月前、知人に「エゾ(蝦夷)に渡らんとせし頃より、新国を開き候ハ積年の思ひ」と手紙を送っていた。北海道坂本龍馬記念館(函館市)の林洋二館長は、龍馬が北海道を目指した理由を「新しい国になって行き場所がなくなる浪士たちに、新天地の開拓と領土の防衛を任せたかった」と推測する。
龍馬は北海道の地を踏めなかったが、遺志を継ぐように海を渡った子孫がいた。直寛もその一人で、開拓やキリスト教の伝道に力を尽くした。林館長は「六花亭の紙袋を持った観光客に龍馬との関係を説明すると、みんな驚きます」とうれしそうに語る。
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