今年も新米の季節を迎え、九州や四国などの早場米が店頭に並び始めた。
「令和のコメ騒動」が表面化して1年になる今も価格が高止まりしているだけに、買い求めた際は心ゆくまで堪能したいところだ。
厳選した全国のコメやご飯のお供などを扱う「AKOMEYA TOKYO(アコメヤ トウキョウ)」(本社・東京都渋谷区)のスタッフに、改めて新米のおいしい食べ方を聞いた。
新米はうまみと香りが格別
そもそも「新米」とは、食品表示法に基づく基準で、収穫した年に包装されたコメを指す。
市場に出回るようになるのは9~10月ごろが一般的だが、8月にはそれに先駆けて早場米が出荷される。
「収穫したての新米はうまみと香りが格別です。ただ、精米すると酸化が始まり品質が変化していきます。白米なら2週間で食べきれる量を購入し、密閉して冷蔵庫で保存するのが理想です」
そう語るのは、「アコメヤお米コンシェルジュ」という社内資格を持つ「お米のプロ」、中野朝美さん(45)だ。
水道水の温度が高い夏場は、急激な吸水を避けるため冷たい水で洗うと良いという。
1回目はさっと水に通す程度にし、その後は汚れが取れる程度に2、3回やさしく洗う。
新米でなければ洗った後に炊飯器に入れ、吸水時間を含めて1時間程度で炊くことが多い。だが、表面に油分を多く含む新米は吸水しづらいため、2時間ほど冷蔵庫で浸水させてから、炊飯器に移してスイッチを入れると良い。
水加減はいつもと同じで、早炊きモードでもOKだ。
「以前は『新米は水分が多いから少なめの水加減で』などと言われることもありましたが、最近は乾燥機や精米機の性能が向上し、常識ではなくなりました」
炊き上がったらすぐにしゃもじで混ぜ、余分な水分を逃がすとふわふわ食感が長持ちするという。
日常用とごちそう用、使い分ける人も
アコメヤが今年最初に入荷する新米は高知県産の「南国そだち」だ。300グラム(2合)で税込み980円と、2024年産より2割以上高い。
広報担当者は「資材費や人件費、米価そのものが上昇している中で、農家の持続的な生産活動を考えると値上げはやむを得ません」と語る。
農水省によると、全国のスーパー約1000店で販売されたコメ5キロ当たりの平均価格はピーク時の4000円台よりは安くなっているものの、直近の8月4~10日は税込み3737円と、前年の同じ時期より1140円高くなっている。
5月下旬に就任した小泉進次郎農相が随意契約で政府備蓄米を大量放出してからブレンド米等の価格は顕著に下がったが、銘柄米は高値傾向が続いている。
中野さんは「日常用とごちそう用のお米を使い分けるお客様もいらっしゃいます。スーパーのお米もセレクトショップの価格に近づいてきたのが現実です。上手に賢くお米を召し上がっていただきたいですね」と話している。【山崎明子】
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