保育園へのお迎えついでに2日分のおかずを受け取れるサービスを、愛知県一宮市の宅食会社「ハッピーウィークデー」が、同県愛西市の一般社団法人「あいちママクリエーションズ」の協力で開始した。【荒川基従】
どちらのトップも子育て経験がある女性。「働くママが献立を考える作業や買い物から少しだけでも解放され、子どものおしゃべりをゆっくり聞いたり自分を大事にしたりする時間を持ってくれたら」との願いが込められている。
2~3人の世帯で2日分に相当する主菜3品と副菜4品のセットを毎週1回、保育園へ子どもを迎えに来た保護者へ提供する。自宅への配達と比べ、受け取り時間を気にしなくてもいいのが利点だ。また、園単位でまとめて配達することで、価格を1回4250円(税込み)に抑えた。
「食事で子どもの体は作られるから」と、食品添加物は使わない。家庭ではつい子どもの好みに献立が偏りがちになるため、セットでは酢の物など大人が楽しめる料理も組み込んでいる。
ハッピーウィークデーの岩道志織社長は、子育てをしながらメーカー勤務をした経験がある。「平日はやらなければいけないことに追われ、休日は翌週の平日を乗り切るための準備で忙しかった」。こうした経験から、「心と時間の余裕と、安心でホッとできるごはんを家庭に届けよう」と2019年に愛知県一宮市の自宅で起業した。今ではスタッフも13人に増え、同市を中心に約100世帯へ手作りのおかずを配達している。
一方、あいちママクリエーションズは名古屋市内で飲食店を経営する傍ら、愛知県愛西市にある永和保育園の保護者や子育て中の職員向けに、1食分のおかずを提供するサービスを行っていた。
店を昨年11月に閉めたため、代表理事の久保綾子さんはサービスを継続、発展できる道を模索。愛知県が23年度に実施した女性起業家向けプログラム以来、交流が続いていた岩道さんに打診した。
ハッピーウィークデーには、料理の温度を一気に下げる急速冷蔵機があるため、おかずの量を2日分に拡大。今年4月から永和保育園で毎週木曜日、試験的にサービスを実施し、7月中旬に正式スタートさせた。
永和保育園では7月11日、保護者参観に合わせて試食会が行われた。並んだのは卵をたっぷり使ったがんもどき、ダイコンのそぼろ煮、トマトとミョウガのマリネなど。岩道さんは「スーパーで買った総菜を食卓で並べることに罪悪感を感じた」とメーカー勤務時代の悩みを明かした。そして「子どもはあっという間に大きくなってしまう。子どもと触れ合う時間や自分のための時間を持つための仕組みが必要。お母さんが元気じゃないと、子どもも元気になれない」と参加した母親らにサービスの活用を呼びかけた。
このサービスの提供範囲は西尾張地方。問い合わせは久保さんのメール([email protected])。
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